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ペルー原油流出「影響10年間も」 トンガ噴火引き金

トンガでの海底火山噴火の影響で起きた南米ペルーでの原油流出事故が深刻だ。国連などの報告によると、海洋汚染の範囲は1400ヘクタール以上にのぼり、環境や経済への影響は最長で10年に及ぶと試算される。政府は原油を貯蔵していたスペイン系企業に罰金を科したが、同社は自然災害によるものだと主張。原油回収作業や住民らへの補償を巡り、今後の対応遅れが懸念される。

原油流出から1カ月たった2月中旬、首都リマ近郊の海岸では白い作業着の人々が流出した原油の除去作業に取り組んでいるが、海は黒く濁ったままだった。地元メディアによると、事故を起こしたスペインのエネルギー大手レプソルはこれまでに流出した原油の67%をすでに回収したと主張し、すでに重機などを撤去し始めたという。

ペルー政府は「(レプソルは)責任を逃れるための口実を探している」と述べ、同社の対応が不十分だと不満をあらわにした。視察した現場では油まみれの鳥の死骸が約200羽見つかったとして、生態系への悪影響を強調。原油の完全な除去に向けて同社のさらなる協力が必要との認識を示した。

国連は2月上旬までに現地に調査チームを派遣し、生態系や住民の生活への影響について調べた。報告書で魚介類が汚染される恐れがあり、消費者に健康被害の有無を調べる必要性を訴えた。汚染範囲は自然保護区も含まれ、漁業だけでなく観光業なども打撃を受けている点を指摘。影響が及ぶ期間について明言はしていないが、地元紙は国連が「6~10年は影響する」と試算していると報じた。

流出事故は1月15日、リマ近郊の製油所で発生した。南太平洋トンガでの海底火山の噴火に伴う高波でタンカーがあおられて原油が流出した。

政府などの推計によると、流出した原油は1万1900バレルにのぼり、80キロメートルに及ぶ海岸線が汚染された。当初は6000バレルと見積もっていたが、現在はその2倍近くに拡大。2020年にインド洋の島国モーリシャス沖で日本の貨物船がサンゴ礁に座礁して発生した重油流出事故を上回る規模とみられる。

ペルーのカスティジョ大統領は事故を受けて「近年起きた環境被害のなかで最も深刻だ」と強調した。地元紙は政府が製油所を運営しているレプソルに約500万㌦(5億7000万円)の罰金を科したと報じた。検察当局もレプソルを環境汚染の疑いで捜査を始めた。

一方、レプソル側は「予見不可能な海洋現象」が事故原因であり責任は問われないと主張している。火山噴火後の高波について、ペルー当局からの警報もなかったという。地元紙によると、同社はタンカーが突然動いたことで原油を送出するホースが壊れたことが原因として、船主とその保険会社に対し訴訟を起こすなどしている。

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