ドイツで、97歳元速記係に有罪判決 ナチ裁判

【ベルリン=共同】ドイツ北部イツェホーの裁判所は20日、第2次大戦中にナチス・ドイツの強制収容所でユダヤ人ら約1万人以上の殺害に関与したとして、収容所の元速記係の女性被告(97)に、殺人ほう助罪などで執行猶予付き有罪判決を言い渡した。
ドイツでは2011年のナチス戦犯裁判で、収容所で看守などとして勤務したことを証明すれば殺人ほう助罪が成立するとの判断が下され、高齢の元看守らの起訴が相次いだ。被告が女性のケースは異例で、今回の判決はナチス戦犯最後の裁判の一つとしても注目された。
裁判所や報道によると、被告は18歳だった1943年から45年まで、現在のポーランド北部にあったシュツットホーフ強制収容所で所長付の速記係兼秘書として勤務。収容者の移送、処刑命令などをタイプした。
弁護側は、被告が大量虐殺を認識していた証拠はないとして無罪を主張。被告は最終意見陳述で「起こったこと全てを申し訳なく思う。シュツットホーフ(収容所)にいたことを後悔している」と述べていた。
被告は昨年9月、公判に出廷せず逃走し、数時間後に拘束された。