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中国、ノーベル賞作家黙殺 暗部描き「売国奴」扱い

(更新)
ノーベル文学賞作家の莫言氏=ロイター

【北京=共同】中国共産党の指導下にある中国作家協会幹部が公表した過去100年の中国文学に、ノーベル文学賞作家、莫言氏(66)が選ばれず、「黙殺された」と話題になっている。国内では、莫言氏が中国社会を醜く描き国外で評価を得たとして"売国奴"と中傷する声も強まる。党への礼賛しか認めないゆがんだ愛国主義が文学界にも影を落としている。

作家協会幹部は6月、今年の党創建100年に合わせて中国を代表する文学者や作品を振り返る文章を中国紙、光明日報に掲載。文豪、魯迅や党員作家が取り上げられる一方、2012年に中国国籍の作家として初めてノーベル文学賞を受賞した莫言氏には全く言及しなかった。

莫言氏は映画「紅いコーリャン」の原作者としても知られる。一人っ子政策を巡る葛藤を詳述するなど中国でタブー視される問題も扱ってきた。作家協会副主席を務め当局にも容認されてきたが、最近、インターネット上では「中国の陰ばかりに注目し、国の成果や革命の英雄を描かない」「祖国や民族、党を攻撃する売国奴だ」などと批判的な投稿が増えている。

中国政府は最近、芸術分野で党の指導を強化すると通知し、党への忠誠心に基づく創作を促した。莫言氏の作風は指導部の意向にそぐわなくなりつつあるようだ。

中国当局の新型コロナウイルス対応の暗部を描いた日記を公開し、国際的な注目を集めた作家、方方氏(66)は愛国主義者らの猛攻撃を受け、全作品が事実上の発禁扱いとなった。北京の文学研究者は「文学の役割は政治の礼賛ではない。これでは中国で魯迅のような文豪は二度と生まれないだろう」と嘆いた。

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