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欧州軍、マリから撤収 西アフリカにロシアが影響力

(更新)

【パリ=白石透冴、カイロ=久門武史】西アフリカのマリに展開している欧州諸国とカナダの部隊は撤収を決めた。マリの旧宗主国で部隊の軸となるフランスのマクロン大統領が17日に表明した。部隊はイスラム過激派の武装組織掃討やテロ対策のため駐留していたが、軍部が支配するマリ暫定政権との関係が悪化していた。

マリはロシア政府と関係の深い民間軍事会社ワグネルと契約を結んだとみられ、西アフリカでロシアの影響力が強まる可能性がある。

撤収に関する共同声明にはフランス、ドイツ、ベルギーを含む欧州15カ国とカナダなどが署名した。署名した国の軍隊がすべて、現時点でマリに駐留しているかどうかは明らかでない。マクロン氏によると、各国の部隊を4~6カ月かけてマリから隣国ニジェールに移し、この地域で作戦を続ける。同氏は会見で「駐留は失敗でなく、多くの成果があった」と主張した。

フランスはオランド前政権時代の2013年、地中海を越えた欧州への難民流入を抑制する思惑もあり、マリに部隊を派遣した。だが、将兵の死傷が増え、資金面の負担も大きくなったため、21年には駐留規模の縮小を発表した。

西アフリカに展開する国際部隊は約2万5000人で、このうち仏軍が約4000人を占める。仏軍は約2500人をマリに駐留させている。

この地域では国際テロ組織アルカイダや過激派組織「イスラム国」(IS)系の武装組織が活動する。新型コロナウイルスの感染拡大で景気が悪化し、職のない若者がテロ組織に流れるケースが報告されている。撤収は治安悪化につながる可能性がある。

AFP通信によると、アフリカを担当する米軍の司令官は、マリ暫定政権がワグネルと契約を結び、「月に1000万ドル(約11億5000万円)を支払っていると考える根拠がある」と指摘した。ワグネルの要員はロシア空軍がマリに輸送しているという。

ルドリアン仏外相は14日、約1000人のワグネルの要員がすでにマリに入ったとメディアに語った。マリ暫定政権はワグネルとの契約を否定している。

マリ暫定政権は1月末、同国駐在の仏大使の追放を発表。フランスをはじめとする欧州側との関係が悪化していた。この地域に詳しい米中央情報局(CIA)の元高官は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、ロシアがマリ側に「フランスに反抗すれば統治の正統性と国民の支持を得られる」と助言している可能性を示唆した。

マリでは20年8月、軍事クーデターが起き、大統領が辞任に追い込まれた。首謀者のゴイタ大佐は21年5月、大統領への就任を表明。暫定政権はいったん、22年2月に大統領選を実施すると約束したが、5年間の先送りを発表した。

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