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「ドイツに気候変動の影響」 豪雨被害、未経験の規模

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消防士らによる救助活動が続いている=ロイター

【ベルリン=石川潤】ドイツ西部とベルギーを中心とした洪水による死者が150人を超えた。行方不明者も多数いる見込みで、被害のさらなる拡大が懸念される。詳細の分析はこれからだが、ドイツの政策当局者からは今回の惨事と気候変動の関係を指摘する声が聞かれる。気候変動で高まるリスクにインフラなどが十分対応できていないことが、被害拡大につながっている可能性もある。

ドイツのゼーホーファー内相は、これだけの死者を出す災害は「経験したことがない」と話す。欧州では2013年にも25人が死亡する大規模な水害が発生したが、今回の被害はそれをはるかに上回る。

今回の惨事を引き起こした直接の原因は、14日から15日にかけてドイツ西部などを襲った豪雨だ。14日からの雨で河川が氾濫し、濁流が家屋を押し流し、道路などのインフラを寸断した。大量の水が一気に押し寄せたため、避難する間もなく命を落とした人が多い。

豪雨は「ベルント」と名付けられた低気圧がもたらした。周囲を高気圧が取り囲むなか、北部ドイツなどから湿った空気が低気圧に覆われた狭い一帯に流れ込み、局所的な集中豪雨を引き起こした。地元メディアによると、今年春に降った季節外れの大量の雨で土壌が水分を多く含み、降雨を十分に吸収できなかった可能性がある。一部地域では、48時間以内の降雨量が1平方メートルあたり150~200リットルに達したという。

今回の惨事と気候変動の因果関係の分析はこれからだ。ただ、ドイツの政策当局者からは「気候変動が到来した」(シュルツェ環境相)などといった声が広がる。専門家などからも、気温の上昇で大気がより水分を含みやすくなれば、豪雨などの災害が頻繁に起こりやすくなるとの指摘が出ている。

豪雨に対する備えが十分できていなかったとの指摘もある。今回も豪雨が到来することはある程度予想されていたが、住民の避難などといった被害を最小限に抑えるための行動に十分つながらなかった。気候変動で豪雨や洪水などのリスクが高まっているのだとすれば、住民への警報などを含めたインフラをどう整えていくかが政治的にも大きな課題となる。

ドイツでは9月26日に連邦議会選挙(総選挙)が予定されており、支持率1位の与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を環境政党の緑の党が追いかけている。CDU・CSUの首相候補のラシェット氏は、被害が大きかったノルトライン・ウェストファーレン州の州首相だ。

かねてリーダーシップの欠如が指摘されているラシェット氏にとって、救助や被災地の復興をどう進めていくかがその力量の試金石となる。有権者の環境意識が一気に高まるようであれば、支持率が伸び悩んでいる緑の党にとっては追い風となる可能性もある。気候変動問題が選挙戦の最大の争点に浮上してきた。

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