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インドネシア、米ロと等距離外交 中国にらみ国益確保

【ジャカルタ=エルウィダ・マウリア】東南アジア諸国連合(ASEAN)の有力加盟国のインドネシアが、米国とロシアを相手に「等距離外交」を演じている。13日には米ロ高官と相次ぎ会談した。インドネシアは地政学上の要衝だが、東西冷戦時代からの非同盟運動のリーダーとして大国の間で立ち回り、国益を確保する狙いだ。

13日にはインドネシアのジョコ大統領が、ブリンケン米国務長官とジャカルタで会談し、安全保障や経済を巡る両国間の協力強化を協議した。ジョコ氏はその直後、ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記とも会った。

パトルシェフ氏は14日、インドネシアのマフッド調整相と情報セキュリティーに関する覚書を交わした。

ブリンケン氏は東南アジア諸国歴訪の最初の訪問国としてインドネシアを選んだ。米国務省のプライス報道官によると、ブリンケン氏はジョコ氏に「インド太平洋地域におけるインドネシアのリーダーシップを支持する」と言明した。

ブリンケン氏はインドネシアを「世界で3番目に人口の多い民主主義国でルールに基づく国際秩序を強く支持している」と持ち上げてみせた。中国の海洋進出を抑制するための協力をインドネシアに期待した格好だ。

中国は南シナ海のほぼ全域で「管轄権」を保有すると主張し、一部がインドネシアの排他的経済水域(EEZ)と重複する。インドネシア近海では中国の漁船がしばしば操業し、緊張が高まっている。ブリンケン氏の「お墨付き」はジョコ政権にとって、中国に強い態度で臨む際の根拠の一つになる。

インドネシアのルトノ外相は「米国とロシアはともにインドネシアの良好なパートナーだ」と指摘した。「すべての国との戦略的な信頼関係を継続して発展させる」と述べ、米ロを含めた全方位外交を基本とする姿勢をあらためて示した。

ジョコ氏の戦略は大国をてんびんにかけ、なるべく有利な条件を引き出すことだ。それはASEANの基本姿勢でもある。新型コロナウイルスの感染拡大が小康状態になり、トランプ前米政権時代に悪化した対米関係を修正し、中国への過度な経済依存を見直す好機だと考えている。

バランスを維持するには、東南アジア諸国への武器輸出の拡大を目指し、対米で中国と協調するロシアとのパイプの確保も欠かせない。インドネシアは冷戦時代、東西両陣営のどちらとも距離を置く立場で、いまでも非同盟諸国会議の主要国だ。

米ロ両国にとっても、人口が世界で4番目に多く、インド太平洋地域の重要な場所に横たわるインドネシアは自国の陣営に取り込んでおきたい重要な国だといえる。

米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の東南アジア専門家はインドネシアを「大きすぎて無視できない」と評する。そのうえでインドネシアの等距離外交や全方位外交とは「どの国も等しく警戒し、心を許さないということだ」と説明した。

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