/

自然災害、20年生まれは最大7倍経験 祖父母世代に比べ

2020年に生まれた子供たちは将来、1960年生まれの祖父母世代に比べて自然災害を最大で7倍多く経験する――。各国に温暖化ガスの排出削減を求める声が強まるなか、気候変動によって被害を受ける度合いの世代間格差が国際研究チームの分析で浮き彫りになった。

ベルギー・ブリュッセル自由大などの国際研究チームが世代別に地球温暖化(気候変動)の与える影響を分析し、9月末に研究結果を米科学誌「サイエンス」に掲載した。

研究チームは山火事、不作、干ばつ、河川の氾濫、熱波、熱帯低気圧の6種類の異常気象にさらされる確率を世代ごとに分析。温暖化が起きる産業革命前の気温から1.5~3.5度上昇するそれぞれのシナリオのもと、1960~2020年生まれの各世代がそれぞれ生涯でどの程度多くの異常気象に遭うのか予測した。

その結果、20年生まれの人は60年前に生まれた人と比べて自然災害に直面するリスクが2~7倍高いことがわかった。現在の温暖化の傾向が続いて気温が2.4度上昇した場合、20年生まれの世代は1960年生まれの世代に比べて約7倍の頻度で熱波にさらされる。2.0度上昇にとどまった場合は約6倍、1.5度上昇の場合は4倍に抑えられるという。

極度な温暖化として、3.5度上昇するシナリオで算出すると、さらに深刻な結果を招くと予測している。20年に6歳になった子供は、同年に55歳である大人と比べると山火事と熱帯低気圧を2倍、河川の氾濫を3倍、不作を4倍、干ばつを5倍、熱波を36倍の頻度で経験することになる。

研究を主導したブリュッセル自由大のウィム・ティエリー教授は日本経済新聞の取材に「これまで気候変動の影響が将来にわたって大きくなるだろうということは直感的にわかっていたものの、科学的には明らかになっていなかった」と語った。

先進国では有権者の多数を占める高齢者は福祉など生活に絡む短期的な課題に関心が高く、中長期の環境問題については若年層ほど危機感が強くないとの指摘もある。こうした事情が各国の温暖化対策の遅れにつながっているとの見方は多い。

若年層の不満は高まっている。段階的な石炭火力発電の廃止で合意した11月の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)についても「明白な失敗だ。リーダーたちが美しい言葉で絵空事の目標を発表するPRイベントになってしまった」(環境活動家のグレタ・トゥンベリさん)との声が上がる。

ティエリー氏は今回の研究により「地球温暖化の深刻な脅威が浮き彫りになり、若い世代のために温暖化ガスの排出削減が必要だと改めてわかった」と強調。「若者が上の世代が下した決断のせいで割を食い、若い世代と上の世代の対立が深刻になる可能性がある」とも指摘した。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン