米国、中国の偵察気球を打ち上げ時から追跡か

【ワシントン=共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は14日、米軍によって4日に撃墜された中国の偵察気球は中国南部海南島の地上から打ち上げられ、米側が当初から追跡していたと報じた。台湾とフィリピンの間を通って太平洋に出て、日本の南約1600キロを通過したとみられる。
同紙によると、中国空軍の計画の一部として打ち上げられた。東に向かうルートが予想外に北に変わった。太平洋の米軍施設を監視する狙いだったとされ、米領空の侵犯は中国の誤算だった。
気球は1月28日にアラスカ州アリューシャン列島北方の防空識別圏に入った後、カナダや米本土の上空を飛行。2月4日に撃ち落とされた。米軍は13日、情報収集に使うセンサーなどを回収したと明らかにした。
一方、国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は14日の記者会見で、米軍が10〜12日に米国とカナダ上空で撃ち落とした3つの飛行物体が中国籍であると示す兆候は現時点で確認されていないと述べた。米情報機関は3つの物体が商業目的や無害なものだった可能性もあるとみて調べている。
残骸は気象条件が厳しい場所に落下したといい、12日に撃墜した物体の残骸が落下した中西部ミシガン州のヒューロン湖についてカービー氏は「決して浅くはない」と指摘。10日と11日に撃墜したアラスカ州の海岸やカナダ北部ユーコン準州は冬のため1年で気候が最も厳しいと語った。
米軍によると、ヒューロン湖上空でF16戦闘機が発射した1発目のミサイルは当たらず湖に落下し、2発目で撃墜。人的被害の報告はないという。