プーチン氏「大規模攻撃は不要」 ミサイル不足の指摘も

【ウィーン=小川知世】ロシアのプーチン大統領は14日、ウクライナへの大規模なミサイル攻撃について「現時点ではさらなる大規模攻撃の必要はない」と述べ、一定の目標を達したとの見方を示した。ウクライナはロシア軍が侵攻で精密誘導ミサイルの3分の2を使い果たしたと指摘した。
プーチン氏はクリミア橋爆発の報復と位置づけ、大規模攻撃を10日に宣言した。
同氏は14日の記者会見で、計画した攻撃をおよそ7割終え、残りも徐々に達成すると説明した。「いまは他に課題がある」と述べ、当面は新たな大規模攻撃は行わないと表明した。
米戦争研究所は14日、ロシアが兵器を消耗し、集中的なミサイル攻撃を長期間続けられないことをプーチン氏が認識していると指摘した。
ウクライナ国防相もロシアが持つ精密誘導ミサイルが侵攻前の1844発から609発に減ったとの分析を明かした。「民間施設に高精度ミサイルを使い、軍事目標への攻撃能力を低下させた」と主張した。
ロシア軍は苦戦を強いられている。プーチン氏は会見で現状を「控えめに言っても気持ちのいいものではない」と認めた。一方、ウクライナ侵攻を後悔していないとも答えた。

9月の発令に基づく部分動員を2週間以内に終え、追加の計画はないとも表明した。ロシア国内に広がる不安を抑制する狙いとみられる。毎年実施する秋季の徴兵を11月に控え、事務手続きが集中する事情もあるようだ。
ウクライナ各地への攻撃は15日も続き、南部のザポロジエ、ニコポリなどで地元当局がインフラや住宅への被害を報告した。同国の電力企業はキーウ(キエフ)州の電力施設が損傷をうけたと発表し、改めて節電を呼びかけた。
ロシアが占領する地域でも攻防は激しくなっている。英紙フィナンシャル・タイムズは14日、米欧の複数の軍高官の話として、ウクライナ軍が南部ヘルソン州の州都を来週にも奪還する可能性があると伝えた。
ロシア側は同国領へのウクライナからの攻撃が相次いでいるとも主張している。ロシアの捜査当局は西部ベルゴロド州への砲撃について捜査を始めたと発表した。同州の知事は変電所が砲撃を受けたとSNS(交流サイト)に投稿した。

2022年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1年になります。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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