モルドバでロシアが「破壊工作」、ウクライナが情報提供

旧ソ連構成国モルドバのサンドゥ大統領は13日、記者会見し、隣国ウクライナからロシアによる「モルドバ破壊工作」の情報提供があったと確認し、その詳細を公表した。デモをたきつけて政権転覆を図るため「訓練を受けた軍人が民間人を装う」「政府機関を襲って人質を取る」ことが計画されていると明かし、警戒を促した。
情報が信頼できるとすれば、破壊工作は軍事力と非軍事力を組み合わせたロシアの「ハイブリッド戦争」とみられ、プーチン政権による2014年のウクライナ南部クリミア半島「併合」作戦と酷似。モルドバは親ロシア派とサンドゥ氏ら親欧米派の対立が続いてきた点もウクライナと重なり、同国に対する侵攻の延長線上に位置付けられている可能性がある。
サンドゥ氏が説明したところでは、破壊工作はロシア人やベラルーシ人、セルビア人らをモルドバに入国させ、実行させる計画。かつての内政の混乱を背景に、サンドゥ政権に反発する「一部の内部勢力」も利用する恐れがある。プーチン政権の目的の一つは、モルドバが昨年6月に「候補国」となった欧州連合(EU)の加盟プロセスを止めることだという。
モルドバは東部にロシア軍が駐留する親ロシア派支配地域の沿ドニエストルを抱える。ロシア軍高官は昨年4月、ウクライナ東・南部から沿ドニエストルに至るまでの一帯を「完全制圧」するのが目標と説明していた。ウクライナのダニロフ国家安全保障・国防会議書記は最近、「大地震の緊急援助のためトルコに入っているチェチェン人部隊がモルドバに行かないよう注意深く監視している」と述べた。(時事)