WHO、サル痘「緊急事態」終了を宣言

【パリ=北松円香】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、2022年7月に出したウイルス感染症のサル痘(エムポックス)の緊急事態を終了すると宣言した。新規感染者・死者数が大幅に減少したことで「もはや国際的に懸念される緊急事態ではない」と判断した。
10日に開いた緊急委員会が感染者数の減少を踏まえ、緊急事態の終了を勧告したことにしたがった。テドロス氏はこの日の記者会見で「感染発生の制御に確実な進捗が見られる」とした。
WHOによると、22年1月から23年5月9日までに日本を含む111カ国・地域で8万7000人以上のサル痘の感染者と140人の死者が確認された。WHOは7月に「公衆衛生上の緊急事態」を宣言して各国に感染拡大防止を呼びかけ、昨秋以降は世界全体の感染者数は減少傾向だった。ただし日本に限ると、23年に入ってから逆に感染者が増えている。
WHOは5日、新型コロナウイルスの緊急事態についても終了を宣言した。テドロス氏はサル痘について「新型コロナと同様に仕事は終わっていない」とし、2つの感染症の流行抑制のため持続的な対応が必要だと指摘した。

<サル痘(エムポックス)とは> サル痘は天然痘ウイルスに似た「サル痘ウイルス」に感染して起こります。世界保健機関(WHO)や国立感染症研究所などによると、サル痘の患者では特徴的な発疹のほか、発熱、頭痛、リンパ節の腫れといった症状が出ます。サル痘という名前は、1958年に実験施設のサルで初めて確認されたことに由来します。
<WHOが緊急事態宣言、国内でも初の感染確認> WHOが2022年7月23日、世界的な感染急拡大を受け、20年1月の新型コロナウイルス以来となる「緊急事態宣言」を出しました。サル痘の最新ニュースや解説をまとめました。
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