核使用、軍事・政治でロシア利さず 慶大の鶴岡准教授

慶応義塾大学の鶴岡路人准教授
ロシアが核保有国である以上、核兵器を使うリスクは常にある。プーチン大統領が核使用のリスクよりも、利益の方が大きいと考えるか次第だ。それを左右するのはウクライナの動きではなく、米国と北大西洋条約機構(NATO)による抑止が効いているかどうかになる。
ロシアにとっても核使用のハードルは高い。米国は「破滅的な結果」を招くと警告してきた。プーチン氏の「あらゆる手段」を使うとの発言の裏には、NATOに対しウクライナが譲歩するように圧力をかけろという脅しがある。「ロシアを追い詰めるな」という議論になれば、思うつぼだ。
ロシアが核使用で軍事・政治的に得るものはない。点在するウクライナ軍の能力をそぐのには適さず、ロシア軍も被害をうける。ウクライナの戦意を喪失させ、西側による追加の兵器供与を阻む効果も期待できない。
米国の警告の信ぴょう性に疑問が生じ、ロシアが「米国は実際には行動できないだろう」と認識してしまえば、抑止は崩れる危険がある。それをいかに防ぐか、正念場だ。
仮に核が使われた場合、米欧の対抗措置として、ウクライナ領内のロシア軍や黒海艦隊を通常兵器で壊滅させることが考えられる。米国は欧州に艦艇や潜水艦などの攻撃能力を展開し、即座に攻撃する用意があるとロシアに示唆しているだろう。

2022年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1年になります。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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