米国関税、WTO協定違反 鉄鋼・アルミでパネル報告

【ジュネーブ=共同】世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は9日、米国が鉄鋼・アルミニウム製品に課した関税がWTO協定に反すると結論付けた報告を公表した。米国を提訴していた中国、ノルウェー、スイス、トルコの主張が認められた。
米通商代表部(USTR)は9日、報告について「誤った解釈をした結論を強く拒否する」と反発し、追加関税を撤回する意向がないとのコメントを出した。パネル報告は一審判決に相当する。
中国商務省は10日「パネルの客観的、公正な判断を称賛する」とのコメントを出した。
当事国は不服がある場合は上訴できるが、二審かつ最終審の上級委員会は、改革を求める米国などの反対で委員の補充ができず、機能不全になっている。このため、決着を見通せない状況だ。
トランプ前米政権は2018年3月、安値による鉄鋼やアルミの輸入の大幅増が安全保障上の脅威になっているとして鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税を課すことを決めた。
同盟国の日本も対象となったが、米国が日本から輸入する鉄鋼については22年4月以降に年125万トンの無関税の輸入枠が導入された。アルミでは折り合っていない。
米国は鉄鋼・アルミへの追加関税が、特定製品の輸入が安保上の脅威になっている場合に対抗策を取れると定めた米通商拡大法232条に基づいた措置と主張した。WTOパネルは、米国の措置は戦争などの緊急事態に適用される例外措置に相当しないと判断した。
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