詩人の金芝河さん死去 韓国民主化運動を象徴

【ソウル=共同】1970年代前後の韓国民主化運動を象徴する詩人、金芝河(キム・ジハ、本名金英一=キム・ヨンイル)さんが8日午後、江原道原州市の自宅で死去した。81歳だった。1年ほど闘病していた。聯合ニュースが報じた。
41年、木浦生まれ。66年にソウル大を卒業。70年、朴正熙政権の特権層の振る舞いを批判する風刺詩「五賊」を発表し投獄された。民主化運動を弾圧した74年の「民青学連事件」で死刑判決を受け、減刑されたが通算7年間を獄中で過ごした。
日本でも作家の大江健三郎さんら市民による救援運動が行われ、当時野党政治家で後に大統領になった金大中氏と共に韓国の政治犯救援運動のシンボルになった。
ソウル中央地裁は2013年、犯罪行為が存在しないとして再審で無罪を言い渡している。
出獄した後の1980年代以降は、生命を尊重する「生命運動」を提唱し、環境運動などを展開。晩年は、朴正熙の娘で保守系の朴槿恵前大統領を応援するなどし、民主化運動の流れをくむ革新系の人々から距離を置かれた。
「黄土」「灼けつく渇きで」「緑豆の花」などの作品がある。