EU、対中国でWTOパネル要請 リトアニア巡り

【ティラナ=共同】欧州連合(EU)は7日、加盟国リトアニアに中国が差別的な貿易措置を取っているとして、世界貿易機関(WTO)で「一審」に相当する紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請した。リトアニアが最近、台湾に接近し、反発する中国から経済的報復を受け苦境に立たされていることが背景にある。EUと中国の対立は一層激化しそうだ。
EUは同日、中国がEU企業の通信技術などに関する知的財産権の保護を認めていないとして別のパネル設置も求めた。EUの行政執行機関、欧州委員会は声明で「いずれの措置も、欧州の企業に大きな損害を与えている」と訴えた。
これに対し中国商務省は、中国がWTO規則にのっとっており、知財権保護も強化しているとして「遺憾」を表明した。
EUは、中国がWTOルールに反してリトアニア製品の通関を拒否したり、リトアニアからの輸入申請を却下したりしており、リトアニアから中国への貿易の規模が大幅に縮小したと指摘している。
中国の裁判所が2020年8月以降、EU企業が知財権の保護を求めて中国国外の裁判所に訴訟を起こすことを事実上阻止する決定を出し、これもWTOルールに反すると主張している。
EUはそれぞれ今年1月と2月にWTOに提訴しており、その後行われた双方の協議が不調に終わったためパネル設置要請に踏み切った。