ベトナム虐殺で賠償命令 韓国地裁が初判断

【ソウル=共同】ベトナム戦争に派遣された韓国軍による民間人虐殺により家族らが犠牲になったとして、生存者のグエン・ティ・タンさん(62)が韓国政府に損害賠償を求めた訴訟で、韓国のソウル中央地裁は7日、約3千万ウォン(約310万円)の賠償支払いを命じる判決を出した。
原告側弁護士によると、ベトナム戦争での虐殺で韓国政府の賠償支払いを初めて認めた判決。韓国政府が虐殺を明確には認めてこなかった中、司法が先んじて政府の責任について踏み込んだ判断を示した。多数の被害者がおり、同様の訴訟が相次ぐ可能性もある。
タンさんは、1968年2月、ベトナム中部クアンナム省の村で韓国軍部隊から銃撃を受け、母や姉を含め70人以上の命が奪われたと訴えた。
判決は「海兵隊の中隊が作戦遂行中、原告の家に着き、銃で脅して(民間人である)家族に外に出るよう命令し銃撃をした」などとし「明白な不法行為」と認定した。「万一、韓国軍が関与していたとしても、ゲリラ戦での戦闘行為だった」との韓国政府の主張を退けた。
タンさんは判決後、支援者らとのビデオ通話で「(犠牲者らの)魂が、うれしい知らせによって、慰められるだろう」と話した。
韓国国防省は「関連機関と協議し、後続措置を検討する」と表明。控訴する可能性を示した。