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「接種8割」世界戦略が必須 途上国後手なら収束は困難

新型コロナウイルスワクチンの世界生産が、世界の12歳以上人口の8割をカバーできるようになっても、途上国のワクチン不足は当面続きそうだ。途上国での流行が続き、感染力の強い変異ウイルスの出現が繰り返されれば、新型コロナの収束は遠のく。先進国の抱える余剰分の分配など、世界的なワクチン戦略が必須となる。

「差し迫る需要に見合うだけのワクチンを供給していかねばならない」。6日、ローマで閉幕した20カ国・地域(G20)保健相会合が採択した共同宣言は多国間協調の重要性を強調した。だが、表向きの協調姿勢とは裏腹に、ワクチンを公平分配する国際枠組み「コバックス」への米欧日などの拠出は、約束した水準の10%程度にとどまる。

英オックスフォード大の研究者らでつくるサイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、アフリカのワクチン接種完了者は人口の3%程度しかいない。途上国での感染拡大を放置すれば、新たな変異ウイルスが生まれ、先進国を含む世界に拡散し新型コロナの収束が遅れるリスクが高まる。

先進国がワクチンの拠出を渋る一因となっているのが、3回目の追加接種(ブースター接種)だ。接種完了から時間の経過でワクチンの予防効果が低下。感染力の強いインド型(デルタ型)の流行に直面し、イスラエルのほか、米国や独仏などが相次いで導入に動いた。

世界保健機関(WHO)は途上国でのワクチン普及を優先させるべきだとしてブースター接種を批判している。今後、先進国が4回目、5回目と定期的な接種を決めれば、世界のワクチン需給が緩むとのシナリオは見直しを余儀なくされる。

中国製ワクチンの有効性への疑念も壁となる。南米チリやインド洋の島国セーシェルのように中国製ワクチンを積極活用した国では、接種完了率が高まっても高水準の新規感染が続いたケースが目立った。

英医療調査会社エアフィニティの集計では、各国が確保済みのワクチンのうち約4割が、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)や中国医薬集団(シノファーム)など中国製だ。チリやタイなどは中国製ワクチンの接種完了者を対象に欧米製ワクチンの追加接種を実施している。

エアフィニティによると、中国製を除いたワクチンの累計生産量が世界の12歳以上人口の8割をカバーできる水準に達するのは2022年4月以降で、生産トラブルなどが起きれば遅れは避けられない。(竹内弘文)

日本、確保のアストラ製大半が余剰になる可能性


日本では、9月6日時点でワクチンを少なくとも1回接種した人は7600万人、人口の60%がワクチンを接種したと推計されている。日本でも今後、ワクチンの供給が進み余剰在庫が出るとの予測が出ているが、足元の在庫は決して潤沢ではない。
政府は米ファイザーから21年中に1億9400万回分、米モデルナから同5000万回分のワクチン供給を受ける契約を締結しており、数字上は全国民分をカバーできる。しかし1回の航空便で輸送されるワクチンの数量には限りがあり、全量が届くまでには時間がかかる。
政府はアストラゼネカからも1億2000万回分のワクチン供給を受ける契約を結び5月に承認したが、血栓など副作用の報告があったため使用を見合わせてきた。デルタ型の流行が進んだため、8月末から接種を認めたが、原則40歳以上など接種対象の制限もあり、確保したワクチンの大部分が余剰在庫になる可能性も指摘されている。(先端医療エディター 高田倫志)

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