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ガス乱高下、ロシアが欧州揺さぶり 供給増を示唆

(更新)

【モスクワ=桑本太、ヒューストン=花房良祐】ロシアが天然ガス価格が高騰する欧州への揺さぶりを強めている。プーチン大統領が新パイプラインを通じた供給増を示唆し、エネルギー市場で天然ガス価格が乱高下した。欧州ではロシアへのガス依存を高めることへの警戒が強く、米国も対応策を検討している。

天然ガス価格は6日の欧州エネルギー市場で乱高下した。風力発電の稼働率がドイツなどで鈍る見込みが報じられ、欧州の指標価格である「オランダTTF」は前日比3割高まで上昇。過去最高値を大きく更新した。

だがプーチン氏の発言が伝わると、ガス価格は急落した。「新しいシステム(送ガス管)を使うことで大幅に安くガスを供給できる」。6日に政府関係者が参加するエネルギー関連の会議でプーチン氏はこう話し、独ロを結ぶ新パイプライン「ノルドストリーム2」の早期稼働がガス価格の安定につながると強調した。

ロシアは欧州のガスの3割程度をパイプラインで供給する。欧州方面への今年の輸出を前年比2割増近くに増やしたが、ウクライナ経由での供給量の追加予約については、輸送コストなどを勘案して見送っていた。

欧州ではガスの在庫水準が平年を大きく下回り、需給の逼迫が続く。ロシアがさらなる供給増に応じないことが価格高騰の一因となっていた。

プーチン氏にはノルドストリーム2の早期稼働に圧力をかける狙いがある。国営の天然ガス大手、ガスプロムが9月に完工を発表したが、欧州連合(EU)の独占禁止を巡る規制の適用除外が認められず、稼働にはハードルが残る。ノルドストリーム2が迂回するウクライナなど欧州の一部の国はかねて反対を訴え、欧州内で意見が対立していた。

EUは対応に苦心する。6日の首脳会議では一部の加盟国から、欧州委員会が代表して購入を交渉することを求める声が上がった。ミシェルEU大統領は「共通したアプローチを取る政治的余地がある」と述べ、次の首脳会議で本格的に議論する構えだが、EUによる市場介入に慎重な意見もある。

ガス価格の騰勢は原油相場の上昇圧力にもなっており、米国も対応策を練る。グランホルム米エネルギー長官は6日、石油戦略備蓄の放出について「すべての選択肢を検討している」と明言した。米国はメキシコ湾岸に世界最大級の石油備蓄を抱え、緊急放出すれば相場を鎮静化できるとの見方もある。

サリバン米大統領補佐官が9月末、石油輸出国機構(OPEC)の盟主、サウジアラビアのムハンマド皇太子と原油相場を巡り協議したことも明らかになっている。脱炭素化の流れで欧米の石油メジャーが原油・ガスの生産を縮小すれば、中東やロシア勢が上流権益を確保するとの懸念もある。

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