米、北朝鮮ハッカー支援で制裁 仮想通貨を資金洗浄

【ワシントン=共同】米財務省は6日、北朝鮮傘下のハッカー集団「ラザルス」の暗号資産(仮想通貨)を狙ったサイバー攻撃を支援したとして、仮想通貨の匿名性を高める「ミキシング」を実施している業者「ブレンダー」を制裁対象に指定し、米国内の資産を凍結したと発表した。
同省によると、ミキシングを行う業者に制裁を科したのは初めて。ブリンケン国務長官は「ブレンダーは、北朝鮮の悪意に満ちたハッカーが仮想通貨を資金洗浄する舞台になっている」と非難する声明を発表。北朝鮮が盗んだ仮想通貨を核・ミサイル開発に利用しているとみて追及する考えを示した。
財務省によると、ラザルスは3月23日に人気ゲーム「アクシー・インフィニティ」のネットワークに攻撃を仕掛け、約6億2千万ドル(約809億円)相当の仮想通貨を窃取。ブレンダーは、うち2050万ドル以上の仮想通貨の所有者情報の追跡を難しくするミキシングに使われた。
財務省は2019年9月にラザルスを独自の制裁対象に指定した。今年の北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けて米国が作成した国連安全保障理事会の追加制裁決議案でも資産凍結の対象にされており、米国は今月中に採決する方針を示している。
ラザルスは14年に、北朝鮮指導者暗殺計画を描いたコメディー映画を製作したソニーの米子会社への攻撃に関与したとされる。