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アラムコ時価総額2兆ドル回復 原油高受けAppleを猛追

(更新)
サウジ東部ラスタヌラにあるサウジアラムコの石油施設=ロイター

原油や天然ガス価格の高騰を受けてサウジアラビア国営石油会社サウジアラムコの株価が上昇し、10月に入り時価総額が一時2兆㌦(約220兆円)を回復した。サウジの実力者ムハンマド皇太子が主張した企業価値の目標となる数値だ。2兆㌦の大台は2019年の新規株式公開(IPO)直後に記録したが、その後は消費国の脱炭素の動きが加速するなかで「看板」をずっと下回って推移していた。

資源高は他のエネルギー企業の株価にも追い風となっている。ロシア国営の天然ガス会社ガスプロム株は6日に一時397.64ロシアルーブルと21年初と比べて9割近く上昇。同じく国営石油会社のロスネフチも6日に663.35ロシアルーブルと同5割強上昇した。いずれも年初来高値を更新した。

英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、仏トタルなどの石油メジャー株も今週、年初来高値をつけた。資源高でエネルギー供給各社の資産価値の高まりや事業収益の拡大を見込んだ買いが集まっているもようだ。

現在の世界的なエネルギー価格の上昇の大きな理由は、クリーンエネルギーへのシフトを加速する欧米石油会社が過去数年のあいだ石油やガス、石炭などの開発投資をおさえ、コロナ危機後の需要回復を前に供給の制約があきらかになったことだ。

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスも4日、減産緩和のペースを変えないことを決めた。暖房需要が高まる冬を前に需給の逼迫懸念が高まる。

アラムコの株高は「国営」という要素も強く作用しているとみられる。脱炭素に向けて投資家の圧力を受ける民間企業は価格が上がっても、ふたたび化石燃料に投資のお金を振り向けるのはむずかしい。対照的に、株式の大半を政府がもつアラムコなど中東産油国の国営石油会社は積極的な投資を続けることができる。

アラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は27年までに生産能力を現在の日量1200万バレルから1300万バレルに引き上げる方針だ。少なくとも短期的にはエネルギー市場で国営会社の存在感が高まりそうだ。

アラムコの民営化はムハンマド皇太子が進める脱石油改革の柱となる。アラムコの株価がこのまま順調に推移すれば、皇太子の悲願とされる国外でのIPOもふたたび現実味を帯びる。アラムコは当初予定から大きく規模を小さくし、国内市場にかぎって株式を売り出した。ニューヨークやロンドンを念頭にした海外上場の計画は宙に浮いたままだ。

アラムコの強みは圧倒的な生産コストの低さにある。ライバル企業が次々と市場から撤退した後も最後のプレーヤーとして残存利益を総取りする戦略とみられている。

世界の企業の株式時価総額で首位は米アップルの2.3兆㌦超で、米マイクロソフトが続く。アラムコは10月上旬時点で世界3位だ。アップルの株価は9月以降、軟調に推移している。原油高が続けば、アラムコの時価総額がアップルにじりじりと迫る可能性もある。

(ドバイ=岐部秀光、堀尾宗正)

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