アイスランドが捕鯨中止へ 24年以降、日本の需要減少

【ロンドン=共同】アイスランドのスバーバルスドッティル漁業・農業相は4日、捕鯨業者に2023年まで割り当てている捕獲許可について、現状では24年以降の更新を認めないとの考えを明らかにした。主な輸出先である日本での需要が減少していることなどが理由で「経済的利益のない捕鯨を続けるリスクは冒せない」と説明した。地元メディアが伝えた。
アイスランドは日本やノルウェーと並び、商業捕鯨を行う数少ない国の一つ。
スバーバルスドッティル氏は地元紙への寄稿で、欧米などで反発の根強い捕鯨自体が「物議を醸す活動」で、自国に悪影響を及ぼす恐れがあると強調。さらに日本などで需要が減少し、過去3年間の捕獲実績は昨年のミンククジラ1頭にとどまったと指摘した。
地元の捕鯨会社クバルル社の社長は19年、共同通信の取材に対し、日本が同年に商業捕鯨を再開して国内業者に補助金を出したことで価格競争が厳しくなったと訴え、捕鯨を当面見合わせる考えを示していた。
別の業者も禁漁海域拡大の影響で捕獲を断念し、この年は17年ぶりに捕鯨が一切行われない状況に追い込まれた。その後に新型コロナウイルス対策の規制で鯨肉の加工作業が滞ったことも、業者の捕獲再開を妨げる要因になったとされる。