サウジ皇太子側が免責主張 首相就任で、記者殺害裁判

【カイロ=共同】2018年に起きたサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件を巡り、サウジのムハンマド皇太子の責任を追及するとして米国で起こされた裁判で、皇太子の首相就任を理由に弁護側が免責を主張したことが4日までに分かった。ロイター通信などが伝えた。
サウジのサルマン国王は9月27日、閣僚評議会(内閣)を改造し、息子のムハンマド皇太子を首相に起用。弁護側は裁判所に提出した文書で米国が過去に他国の元首の免責を認めた事例を引用し、首相就任で「免責を受ける権利を持つことは疑いない」と述べた。
カショギ氏の婚約者だったトルコ人女性ハティジェ・ジェンギズ氏とカショギ氏が殺害直前に米国で設立した人権団体が20年10月、米ワシントンの連邦地裁に提訴。裁判所は米政府に、国家元首に対する免責が適用されるかどうかの意見を求めていた。米政府側は見解を示していない。
サウジ政府に批判的だったカショギ氏はトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館を訪れ、サウジ当局者らに殺害された。バイデン米政権は21年、皇太子が殺害を承認したとの報告書を公表。皇太子は否定している。