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イランと米欧の隔たり大きく 核合意再建交渉、29日再開

【ドバイ=岐部秀光】米国の離脱とイランによる違反で骨抜きになっているイラン核合意を再建するための交渉が29日、ウィーンでおよそ5カ月ぶりに再開する。イランへの制裁解除の手順などで米欧とイランの主張の隔たりは大きく、話し合いが難航するのは必至だ。

イランのバゲリ外務次官は3日、欧州連合(EU)対外活動庁のモラ事務局次長と電話で29日の協議再開を確認した。核合意の再建協議は6月まで6回開かれたが、その後、長く中断されていた。8月に就任したイランの反米強硬派、ライシ大統領は協議再開そのものを交渉カードとして使っていたもようだ。

バゲリ氏はツイッターで「違法で非人道的な制裁を終わらせる」ことが話し合いの目的だと主張した。

イラン核合意は2015年に成立したイランと米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国の6カ国による取り決め。イランの原子力活動を大きく制限するかわりに同国への国際制裁を解除する内容だった。だが、トランプ前政権の米国が18年に離脱し、金融や原油輸出を巡る強力な対イラン制裁を復活させた。

イランの交渉での要求は大きくわけて3つある。①トランプ氏が復活させた制裁の即時全面解除②米の再離脱をふせぐ不可逆的な合意保証③原子力以外の項目を合意に盛り込むことへの反対――だ。

米国内の反イラン強硬派や、イランと対立するイスラエルは、イラン核合意自体に反対だ。イランのミサイル開発抑制や、親イラン勢力への支援を通じた中東各国への介入の停止などを新たな合意として盛り込むよう求めている。

核合意再建には中国やロシアの協力が欠かせない。しかし、貿易や新型コロナウイルス感染拡大の責任の所在、気候変動対策など多くの分野で米中、米ロはそれぞれ対立を深めている。米国が望むかたちでの同国の核合意復帰を中ロが助ける理由はない。

イランは核合意からの重大な逸脱を重ねている。ウランの濃縮レベルの引き上げや貯蔵増で核兵器取得まで技術的に可能な時間がどんどん短くなっている。国際原子力機関(IAEA)によるイランの原子力施設への査察も事実上、停止している。

イランと対立するイスラエルは、イランが核兵器開発を突如、宣言する事態を警戒する。核合意が形ばかりとなり各国の相互不信が高まれば、中東地域が一段と不安定になりかねない。

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