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オミクロン・デルタ・アルファ…よくわかるコロナ変異型

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新型コロナウイルスを巡り新たな変異型「オミクロン型」が確認された。世界で猛威を振るうデルタ型をはじめ変異ウイルスは感染力が従来型よりも強いケースがあり、毒性も変化するなど変遷が激しい。世界保健機関(WHO)が感染力などに応じて分類している変異型ウイルスの特徴などを追ってみる。

WHOはコロナの変異ウイルスを「懸念される変異型(VOC)」と「注意すべき変異型(VOI)」に分類している。VOCとは感染力や重症度が増し、ワクチンの効果を下げるといった性質の変化がみられた変異ウイルスのことだ。VOCに続き、感染力やワクチン効果に影響を与える可能性のある種類をVOIと指定している。VOCはオミクロン型を含め5種類、VOIに2種類の変異ウイルスを分類している。

オミクロン型

オミクロン型は約50カ所の変異があり、感染力が強い。2021年11月に南アフリカや隣国ボツワナ、イスラエル、香港で見つかったのに加えて、欧州各国でも感染者が確認され既に世界100カ国以上に広がっている。日本でも12月22日に大阪で市中感染が確認された。米疾病対策センター(CDC)の推計によると、12月12~18日の週に米国で新たに確認したコロナのうちオミクロン型が73.2%を占め、デルタ型(26.6%)を逆転した。1週前は12.6%、2週間前は0.7%だった。英国も7割を超えている。

オミクロン型はウイルス表面の突起状のたんぱく質「スパイク」に30カ所以上の変異が起こっている。スパイクは人の細胞に感染するときに働くもので、ワクチン接種でできた抗体が攻撃する標的になる。スパイクの変異によって構造が変化すれば、感染力や免疫の効き目に影響を与える可能性があると考えられている。変異によっては免疫がうまく反応せず再感染につながる恐れがある。

WHOの対策チームは1月4日、オミクロン型について他の変異型より重症化リスクが低い可能性が高まっているとの見解を示した。鼻や喉の炎症は多い一方、肺に達して重い肺炎を引き起こすリスクは低いとした。ただ感染力は高く、専門家は3密回避など感染対策の継続を呼びかける。

WHOの新型コロナ対策チームのマフムード氏は記者会見で「オミクロン型は(喉など)呼吸器の上部に感染し、重い肺炎を起こす他の変異型とは異なるという研究が増えている」などと語った。

東京大学など国内外の複数の研究チームがハムスターなど動物を使った研究から、オミクロン型はデルタ型や従来型と比べて肺で増えにくく、症状も軽い傾向にあると報告している。英保健安全局が2021年12月31日に公表した報告書では、オミクロン型の入院リスクはデルタ型の約3分の1であると分析した。

アルファ型

2020年9月に感染例がみつかり、当初は英国型と呼ばれていた。スパイクに「N501Y」という変異がある。スパイクは約1300個のアミノ酸からなるが、N501Yの場合は501番目のアミノ酸が従来のN(アスパラギン)からY(チロシン)に置き換わった。疫学的な解析などからこの変異があると、感染力が高まるとされている。国立感染症研究所は、感染力を従来の約1.3倍としている。海外の報告では従来と比べて死亡率は61%増え、入院リスクは約1.5倍とした。世界的に検出数は継続して減少している。

ベータ型

ベータ型の発生は20年5月といわれている。南アフリカで確認されたことから南ア型と呼ばれていた。N501Yに加え免疫から逃れる「E484K」という変異を持つ。感染力が約5割高く、入院時の死亡リスクが増えた可能性が指摘されている。ベータ型が流行した際の中東のカタールの報告では、ファイザー製ワクチンを2回接種後の感染予防効果は75%としている。世界的に検出数は継続して減少している。

ガンマ型

ガンマ型は20年11月にブラジルで見つかり、一時ブラジルやチリなど南米を中心に流行した。世界的に検出数は継続して減少している。ベータ型と同様にN501YとE484Kの変異を持つ。感染力は従来の1.7~2.4倍との報告があり、入院リスクが増した可能性がある。ワクチン接種後の血液の分析から、ワクチンの効果を弱める可能性も指摘されている。

デルタ型

インドで初めて確認され、現在の感染の主流となっている。スパイクに「L452R」という変異がある。これまで確認された変異ウイルスの中で最も感染力が強いとされ、感染力はアルファ型より5割程度高いとされる。デルタ型はアルファ型に比べ、入院確率が2倍に膨らむとの研究結果もある。デルタ型は5月ごろから一気に流行し、2~3カ月で世界の新規感染の9割超に達した。日本国内でもほぼ100%置き換わっている。

米医療機関などが実施した研究によると、米ファイザーと独ビオンテックのワクチンは感染力の強いデルタ型に対しても、入院への予防効果は90%を超えた。一方、時間の経過とともに感染への予防効果は低下した。接種完了から1カ月後は88%だったが、5カ月後には47%まで下がった。

イプシロン型・ゼータ型

イプシロン型は米国で見つかった変異型。ゼータ型はブラジルで見つかった変異型。ともに発生率が下がったため、WHOはVOIから監視が必要などとする扱いに引き下げた。

イータ型

イータ型は20年12月に英国など複数の国で報告があった変異型。スパイクにE484Kの変異を持つ。体の免疫から逃れやすくなり、ワクチンでできた抗体の効果が弱まる可能性がある。ただ、ベータ型やガンマ型が持つ感染力を強める変異N501Yはない。国内でも18件確認されている。20年12月以降に日本に入国・帰国した陽性者のゲノム解析結果を厚労省が集計して判明した。9月中旬、VOIから引き下げた。

シータ型・イオタ型

シータ型はフィリピンで見つかった変異型。発生率が下がったため、WHOはVOIから監視が必要などとする扱いに引き下げた。イオタ型は米国で見つかった変異ウイルスでVOIに分類したが9月中旬、格下げした。

カッパ型

インドで見つかった。デルタ型と同様にL452Rの変異が起こっている。日本ではこれまでに検疫で19人確認された。WHOはVOIから格下げした。

ラムダ型

20年にペルーで初めて報告され、中南米地域では感染が拡大していたが現在は減少傾向にある。WHOはVOI指定に加え、「感染力が高く、抗体に対する抵抗力がある可能性がある」と指摘している。国内の検疫ではこれまで4例認めており、2021年9月6日の例が最後。

ミュー型

21年1月にコロンビアで見つかった変異型。WHOは8月30日付でVOIに加えた。南米のほか、欧州でも大規模な集団感染を起こした事例があるという。現在は減少傾向にある。ミュー型の変異についてWHOは「免疫逃避の性質をもつ可能性がある」としている。日本では空港検疫で6月と7月にミュー型を2例確認している。

変異型、増殖時のコピーミスで発生

新型コロナの遺伝情報はRNAという物質に刻まれている。RNAは4種類の分子が約3万個並んだ構造をしている。分子の並び方をもとにアミノ酸が作られ、アミノ酸が連なるとたんぱく質になる。

ウイルスが感染した細胞の中で増殖しようとRNAを複製する際、分子の一部が置き換わったり欠落したりするコピーミスが起こる。これが変異だ。変異が起きると作られるアミノ酸の種類が変わり、たんぱく質の構造や性質が変わる場合がある。その影響で、ウイルスの感染力などの性質が変わることがある。

感染を繰り返す中で変異は蓄積する。変異の起きる速さはウイルスの種類によって異なるが、新型コロナは約2週間に分子1つのペースで変化している。変異型の種類が増えると、まれに感染力や病原性が強いウイルスが生まれる。

アルファ・ベータ…名称はギリシャ文字から

WHOは5月末、新型コロナウイルスの変異型の名称について、ギリシャ文字のアルファベットを使う方針を示した。ギリシャ文字はアルファ(α)からオメガ(ω)まで全24種類ある。これまで最初に確認された国名を取って「英国型」「インド型」などと表現されることも多かったが、特定国への偏見や風評被害を回避するため、変更に踏み切った。「ニュー(ν)」と「クサイ(ξ)」を飛ばして「オミクロン型(ο)」となった理由についてWHOは発音が似た英単語との混同や人名を避けるためだと説明したという。

グラフィックス 竹林香織 荒川恵美子
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