自民党の得票率、84%の自治体で上昇 衆院選比例代表
衆院選比例代表の各党得票率を全国1741市区町村ごとに見てみよう。自民党の得票率は全体の84%にあたる1464の自治体で2017年の前回より上がった。日本維新の会が躍進した大阪など近畿では逆風が吹いた。
自民、北海道・東北・信越などで得票率上昇、近畿は「維新旋風」の逆風

自民党は小選挙区で議席を減らしたが、比例代表は前回の66議席を上回る72議席を得て6議席増やした。比例代表の得票率は前回17年の33.3%から34.7%に1.4ポイント上がった。
47都道府県のうち上昇率が最も高かったのは岸田文雄首相(党総裁)の地元、広島県だ。9.0ポイント増の45.9%で「岸田効果」が表れた。
北海道や東北、信越で集票力を高めた。北海道は179市町村すべてで上昇し、前回は候補を出した新党大地の票が流れたとみられる。
東北は前回までは環太平洋経済連携協定(TPP)加盟の影響で農業票が離れたと指摘された。「選挙が厳しいと言われて活動を引き締めた」(自民党関係者)との要因もあり、復調した。
日本維新の会の拠点である大阪を含む近畿6府県は青色が目立つ。市町村別に見ると大阪府の全43市町村、兵庫県の全41市町で減った。「維新旋風」をもろに受けた。
自民、太平洋側より日本海側で高く

自民党の21年の得票率を見てみる。太平洋側よりも日本海側で高い。都道府県別で最も高いのは山口県の49.6%。安倍晋三元首相が当選した山口4区のある長門市は64.3%に達する。最も低いのは大阪府の20.4%で、沖縄県も23.8%と弱い。中国5県(43.4%)と近畿6府県(25.7%)には17.7ポイントの差がある。東京は31.0%で全国平均(34.7%)より低く、東京・大阪の2大都市圏で課題を抱える。
維新、本拠地は大阪 各県「1区」軸に支持拡大

日本維新の会は比例代表で25議席を得て、公示前8議席の3倍に躍進した。全国1741市区町村の98%にあたる1708自治体で得票率は上がった。本拠地の大阪府から近畿全域に勢力を伸ばし、大阪府は43市町村すべてで得票率が自民党を上回った。小選挙区で候補者を擁立した各県の県庁所在地がある「1区」を軸に比例票を掘り起こした。大阪の地域政党の存在から全国に支持を広げる足場をつくった。
立民、北海道などで強さ 東京は下落

立憲民主党は比例代表で39議席にとどまった。全体の得票率は20.0%で、前回出ていた希望の党の支持層をうまく取り込めなかった。共産党と選挙協力したため、離れた支持層もいたとみられる。東京23区はすべて前回より得票率を下げた。一方、北海道など官公労が強いとされる地域では得票率は高い。小沢一郎氏の地元、岩手県も高さが目立つ。
