東証大引け 3日続落 米金融引き締め警戒、コロナ不安も
11日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落し、前週末比256円08銭(0.90%)安の2万8222円48銭で終えた。米国の金融引き締めへの警戒感が強まり、金利上昇が逆風となるグロース(成長)株への売りが指数を押し下げた。新型コロナウイルスの感染が国内で急拡大していることも投資家心理を弱気に傾かせ、下げ幅は午前に400円に迫る場面もあった。
前週末に発表された2021年12月の米雇用統計は失業率が低下したうえに市場予想も下回るなど、労働需給の引き締まりを意識させる内容だった。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めを支持する材料と受け止められて米長期金利の上昇観測が強まり、半導体関連株のようなハイテク株を中心に売りが出た。
11日にはパウエルFRB議長の承認を巡る米議会上院の公聴会、12日には21年12月の米消費者物価指数(CPI)の公表を控える。米金融政策の先行きを占う重要イベントを前に運用リスクを取りにくい市場参加者が多かった。
国内で新型コロナの新規感染者数が急増したことも相場の重荷だった。3連休中には全国で6000~8000人台の新規感染者が確認された。市場では「早晩、1万人の大台に達して経済活動の一段の制限が意識されそう」(国内証券のストラテジスト)と懸念する声が聞かれた。
一方、岸田文雄首相が午前に新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を加速する方針を示したことには、相場の一定の下支え材料になるとの見方もあった。日経平均は心理的な節目の2万8000円が視野に入ると下げ渋った。
東証株価指数(TOPIX)は3日続落し、前週末比8.86ポイント(0.44%)安の1986.82で終えた。JPX日経インデックス400は3日続落した。
東証1部の売買代金は概算で3兆73億円。売買高は12億4677万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1157、値上がりは960、変わらずは68だった。
東エレクやアドテストが売られたほか、ソフトバンクグループ(SBG)が下げた。キーエンス、ファナックも安い。半面、金利上昇観測でSOMPOや第一生命HD、三井住友FGが上昇。三菱重や武田も買われた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕