東証前引け 続落 新型コロナに警戒感、景気敏感株に売り
8日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日比72円33銭(0.27%)安の2万6475円11銭で前場を終えた。下げ幅は一時200円を超す場面があった。世界的な新型コロナウイルスの感染再拡大による景気の先行き不透明感から空運や石油・石炭製品、輸送用機器など景気敏感株の売りが目立った。ただ、売り一巡後は好業績銘柄に買いが入り、下げ幅は縮小した。
JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)は続落した。
新型コロナの感染拡大で米カリフォルニア州の多数の自治体が、集中治療室の病床不足を受けて不必要な外出を禁じる自宅待機命令を発動したと伝わり、景気の先行きに対する不透明感を高めた。米国の追加経済対策をめぐる与野党協議に大きな進展を示す報道がなかったことも心理的な重荷となった。
一方、ハイテク株比率が高い米ナスダック総合株価指数は前日に上昇しており、東京市場でも半導体関連株やハイテク株が買われた。菅義偉首相が8日、追加経済対策の事業規模が73.6兆円、財政支出は40兆円になると表明。政府が大規模な財政出動を続けることも支えとなった。
大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジストは、「新型コロナの感染拡大を警戒した売りと、ワクチン投入や財政出動を期待した買いの綱引きとなるなか、短期的な過熱感もあり売りが優勢となっている」としていた。
前引け時点の東証1部の売買代金は概算で9705億円、売買高は5億301万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は773、値上がりは1273、変わらずは125だった。
個別では第一三共、ファナック、オリンパス、スズキ、ホンダ、JAL、ENEOSが安い。一方、エムスリー、東エレク、岩谷産などは買われた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕