東証前引け 反落し397円安 欧米株安受け景気敏感株に売り
10日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日比397円74銭(1.41%)安の2万7848円79銭で終えた。前日の欧米株式市場で主要中銀の金融引き締めによる景気減速への警戒から、主な株価指数が下落した。この流れを受け、東京市場でも運用リスクを回避したい投資家の売りが幅広い銘柄に出た。下げ幅は400円を超える場面があった。
9日には欧州中央銀行(ECB)が7月に量的緩和を終了し、同月中に利上げする方針を示した。9月以降にインフレ次第では0.5%の利上げをすることも示唆した。欧州景気が減速し、世界経済に影響するとの懸念が強まった。東京市場でも、鉄鋼や非鉄、機械といった景気敏感銘柄の下げが目立った。
日経平均は前日までの5営業日で800円超上昇した。このところの円安進行で輸出採算が改善するとの見方から買われていた自動車株の一部などにも利益確定の売りが出ている。
半面、百貨店や不動産など内需関連の一部には買いが入った。10日からは観光目的のビザ発給が再開された。「新型コロナウイルス禍からの回復局面にある日本経済の相対的な強さが意識されている」(ピクテ投信投資顧問の糸島孝俊ストラテジスト)との見方があった。
東証株価指数(TOPIX)は続落した。午前終値は前日比19.21ポイント(0.98%)安の1949.84だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆8103億円、売買高は7億1622万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1504と、全体の約8割を占めた。値上がりは265、変わらずは69だった。
ファナックやクボタ、住友鉱、日本製鉄が下落した。トヨタやファストリ、東エレクも安かった。第一三共やエーザイなど医薬株の下げも目立った。一方、太平洋セメと住友大阪は大幅高。積ハウスや三越伊勢丹、T&Dも買われた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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