NY原油が急落、12%安で終了 OPEC増産の思惑で

【NQNニューヨーク=川内資子】9日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は4営業日ぶりに大幅に反落した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で、期近の4月物は前日比15.00ドル(12.1%)安の1バレル108.70ドルで取引を終えた。石油輸出国機構(OPEC)加盟国による増産の思惑が浮上した。欧米のロシアへの経済制裁に伴う需給逼迫の観測が和らぎ、売りが優勢となった。一時は16%安の103.63ドルを付けた。
フィナンシャル・タイムズ(FT)が9日、「アラブ首長国連邦(UAE)がOPEC加盟国に増産を促している」と報じた。UAEの駐米大使は午後にツイッターへの投稿で報道内容を認めた。ブリンケン米国務長官も9日にUAEが増産に向けた協力姿勢を示していると述べたと伝わり、原油高を受けて一部の産油国が増産に動くとの見方が強まった。
このほか「イラクがOPECと非加盟国からなる『OPECプラス』の要請があれば、増産する姿勢を示した」と米メディアなどが報道。ダウ・ジョーンズ通信は「ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアとの停戦協議で何らかの妥協をする意思があるとの不確かな情報が市場に流れた」と報じた。こうした情報が重なって、先物売りを誘ったようだ。
市場ではロシア産原油の欧米への輸出が減っても、中東の産油国や米シェール企業による増産である程度は補えるとの見方が広がりつつある。
米エネルギー情報局(EIA)が9日発表した週間の石油在庫統計で原油在庫は市場予想以上に減った。需給の引き締まりが改めて意識されたが、売りの勢いが強く相場の反応は限られた。
ニューヨーク金先物相場は5営業日ぶりに反落した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である4月物は前日比55.1ドル(2.7%)安の1トロイオンス1988.2ドルで終えた。欧米の株式相場が大幅に上昇し、実物資産の裏付けがあり相対的に安全な資産とされる金先物への売りが優勢となった。
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