NY円、8日続落 1ドル=118円70~80銭 一時119円台 米利上げ加速観測で
【NQNニューヨーク=戸部実華】16日のニューヨーク外国為替市場で円相場は8日続落し、前日比45銭円安・ドル高の1ドル=118円70~80銭で取引を終えた。一時は119円12銭と2016年2月以来の円安・ドル高水準を付けた。米連邦準備理事会(FRB)が16日午後に公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受け、利上げが加速するとの見方が強まった。日米の金融政策の方向の違いが鮮明となり、円売り・ドル買いが広がった。
FRBは18年12月以来となる利上げを決めた。会合後に示した委員らの政策金利見通しで、今回を含む年内の利上げ回数予想は7回に増やした。前回12月の会合では3回だった。パウエルFRB議長は記者会見で「米経済は非常に力強く、金融引き締めに対応できる」との考えを示した。
市場では「高インフレへの対応を積極的に進めるとの印象を強めた」(ジェフリーズのブラッド・ベクテル氏)との声が聞かれた。米長期金利は一時前日比0.10%高い2.24%と、19年5月以来の高水準を付けた。日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いが勢いづいた。
円は朝方から売りが優勢だった。ウクライナのゼレンスキー大統領が16日の演説で、ロシアとの停戦に向けた対話について「交渉に現実味が出てきた」と述べた。ロシアのラブロフ外相も同日、ロシアのメディアに「妥協に達する兆しがある」と話した。停戦協議の進展への期待を誘い、投資家がリスク回避姿勢を和らげ、低リスク通貨の円の売りにつながった。
米国時間の16日午前に福島と宮城両県で震度6強を観測する地震が発生したと伝わった。円は直後はやや買いが優勢になったが、その後すぐに売り直された。
円の高値は118円22銭だった。
円は対ユーロで大幅に4日続落し、前日比1円45銭円安・ユーロ高の1ユーロ=130円95銭~131円05銭で取引を終えた。
ユーロは対ドルで3日続伸し、前日比0.0080ドルユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.1030~40ドルで取引を終えた。ウクライナとロシアの停戦交渉への期待から、円と同様に低リスク通貨とされるドルが対ユーロで売られた。ただ、FRBの利上げ前倒し観測を受け、ユーロは伸び悩む場面もあった。
ユーロの高値は1.1047ドル、安値は1.0950ドルだった。