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快走する海運株 世界貿易量、すでにコロナ前回復

世界のモノの貿易が急速に回復している。オランダ経済政策分析局によると世界貿易量は2月時点で、すでに新型コロナウイルス禍の前の水準を上回っている。コロナ禍でいったん落ち込んだ分の挽回である「ペントアップ」需要が押し上げており、けん引役は米国と中国だ。モノを運ぶ船の不足は、運賃上昇を通じ海運企業の好業績をもたらす。東京市場では日本郵船をはじめ海運株の上昇が目立っている。

世界のモノの動きをみる際に、エコノミストが注目するのがオランダの分析局による「世界貿易モニター」だ。2月の世界貿易数量指数(2010年=100)は前月比0.3%上昇し128.0。米国の南部を襲った大寒波や中国の春節(旧正月)休みの影響があったものの、直近の最低水準だった20年5月を23.7ポイント上回り、過去最高水準だ。

昨年春にはコロナ禍で世界中で需要が冷え込み、生産調整が進んだ。経済活動の再開とともに先送りされた消費が戻っただけでなく、在庫を回復させる動きが活発になり、生産や貿易が一気に上向いた。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「半導体の不足や物流の停滞は下押しに働くが、貿易拡大は21年も継続する」とみる。

コロナ禍からの立ち直りが早かったのは中国。1~3月は輸出入ともに過去最高を記録した。米国も中国などアジアからの輸入を大きく増やしている。日本海事センターによると、アジア18カ国・地域から米国へのコンテナ輸送は20年が前年比3.9%増の1833万TEU(20フィートコンテナ換算)となり、過去最高だった。このうち、2割強を占めるのが家具・家財道具や建築用具といった住宅関連だ。

米国の住宅市場は低金利環境に加え、コロナ禍による郊外への移転などが重なり活況を呈している。米商務省によると、3月の住宅着工件数は173万9千戸(季節調整済み、年率換算)。2月の記録的な寒波で落ち込んだ反動もあるが、06年6月以来の高水準となった。住宅着工が増えるにつれ、米国の関連資材の需要が増える。「巣ごもり」による電化製品などの需要拡大も、コンテナ輸送の増加を支える。

モノの動きの急回復は、運ぶために使う箱である「コンテナ」不足をもたらしている。昨年暮れごろから深刻になり、コンテナ運賃は高騰している。上海航運交易所が公表する上海発の米国向けスポット運賃(40フィートコンテナ1個当たり)は4月上旬時点で4000ドル前後。前年同時期の約2.5倍の水準にある。

コンテナ運賃の上昇は海運大手の業績にも貢献する。日本郵船、商船三井川崎汽船の3社はコンテナ船事業を統合したオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の収益が大幅に改善。野村証券は21日付のリポートで3社の目標株価を引き上げた。担当アナリストの広兼賢治氏は、コンテナ不足は21年1~3月期をピークに徐々に終息するものの「ペースは緩やかとみている」と指摘した。

新型コロナの感染拡大が株式市場でも懸念材料となっている。日経平均は26日までの月間騰落率がマイナス0.18%。だが、海運株は業種別でプラス9.07%で、2位の鉄鋼(4.49%)を引き離してトップを快走する。27日午前の東京株式市場でも海運3社はそろって上昇。川崎汽は年初来高値を更新した。グローバルな景況感の回復を反映する海運株高だが、日経平均のけん引役が足元では少ないことを映しているようにもみえる。

〔日経QUICKニュース(NQN) 三輪恭久〕

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