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ジム・ロジャーズ氏「日本株もっと買う。ドルは安全通貨」

週末、10年以上の付き合いになるジム・ロジャーズ氏とSNS(交流サイト)で会話した。

今年、同氏は日本株を購入したことを明言していたが、今後も買い増す意向を確認した。以下、本人の希望により、公にできる部分を直訳する。

ジム・ロジャーズ氏(左)と筆者

「日本株については、絶対ではないが、強気だ。私は日本株上場投資信託(ETF)を保有しており、もっと買う。日銀はマネーを毎日印刷して、日本株ETFを買っており、日銀は私より金持ちだからだ」

さらに、円高ではなく「ドル高」と見ている。

「人々は米ドルを安全通貨と見ており、次の相場波乱では米ドルが上昇するだろう」

同氏は、長期的な見地では、日本経済に一貫して悲観的だ。少子高齢化で移民に抵抗感を持つ国の将来は極めて厳しいと繰り返し断言してきた。新型コロナウィルス禍前のことだが、筆者がシンガポールの同氏の豪邸を訪問するたびに、「シンガポールくんだりまで経済の話をしにくる時間があるなら、もっと子作りに励め! 君の国に最も足りないことだろう」と同氏流の言い回しで諭されたものだ。それゆえ、同氏の日本株の長期保有は疑問だ。官製相場に乗れるところは乗ってゆくという「ヘッジファンドの元祖」の割り切りであろう。

米ドルに関しても、同氏は常に長期的に悲観的だ。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和を批判して、「FRBなんて要らない」と言ってのけた。そもそも米国を見切って、これからは中国の時代と明言。娘たちを中国語学校に行かせるためにシンガポールに一家移住したほどだ。とはいえ、多数の人が米ドルを安全通貨と見ている限り、これも当面は保有するということであろう。

なお、同氏は価格予測は「絶対に」やらない。「私はしばしば外すので得意ではない。メディアに出るアナリストたちに聞け」とジョーク気味に語る。要は、相場に将来が映る水晶玉も魔法のつえもないと悟っているからだ。

ウォール街で同氏が最初に働いた会社があったビルに案内してもらったことがある(写真)。エール大学卒だが、アラバマ州出身でウォール街には疎く、当初は試行錯誤の試練を繰り返し、若くして巨額の富を築いた。そこで、相場は理論通りに動かないことも悟ったのであろう。

バイクで世界一周した話は知られているが、そこでグローバル感覚を養ったので、実に鋭い「動物的感覚」を持っている。ミャンマーが全く注目されなかった頃に「これからはミャンマーが有望」と同国詣でに誘われたことを思い出す。ミャンマーブームが起きる3年前のことであった。

なお、同氏は日本びいき。来日するたびに「うな丼」を所望する。東日本大震災の当日は日本応援の気持ちでシンガポールの日本料理店に一家で行ったという。そして当日、暴落した日本株を買うことも忘れなかった。「Buy Disaster=災害は買い」とのつぶやきが印象的であった。

米バイデン次期大統領より若干若いが、「孫」の年齢ほどの「娘」2人のまえでは好々爺(こうこうや)である。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

日経電子版マネー「豊島逸夫の金のつぶやき」でおなじみの筆者による日経マネームック最新刊です。

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