日本株浮上、ライバルは中国株と韓国株
「国際投資家は日本を再び愛する術(すべ)を考えてもよいとき」
直訳すれば、このような見出しの記事が7日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙に載った。本欄2日付「世界株高 目立つ日本株、欧米で高評価」にも書いた日本株見直し基調の最新事例といえる。
日本では、日本株の高値警戒感が強く先行き慎重な見方が増えているので、欧米との温度差が鮮明だ。
記事の要点は以下の通り。
「日経平均をドル建てでみると、年初からのパフォーマンスは(米主要500社で構成するスタンダード・アンド・プアーズ)S&P500を4%上回ることを、国際投資家は気づいていないようだ。日本株に楽観的になれる理由は多い。PER(株価収益率)が米国株24に対して、日本株は18。日本企業の潤沢な現金保有も、株主本位の増配や自社株買いの余地を示す。負債資本倍率も、欧米株は110%を超えるが、日本株は90%以下だ。企業債務問題は、いまや、先進国では大きな問題点である。コロナ禍からの経済回復に支障が生じた場合にも、この『現金保有』が緩衝材となろう」
最後に、「最近の市場動向を見るに、日本株の(潜在的)ポテンシャルが(実際の)パフォーマンスに変わる可能性がある。国際投資家がその光を見れば、(日本株の)上昇余地はさらに大きくなろう」と結んでいる。
なお、欧米市場では中国株と韓国株も注目され、「アジア株」というカテゴリーのなかで、ライバル的存在となっている。
共通点は欧米に比べてコロナ感染度が相対的に低いこと。
特に、中国株は中国経済回復基調の波にも乗っているので、すでに「見直し」の段階から「買い」の段階に入っている。中国株買い一巡の後に、日本株にお鉢が回ってくるという展開も予想される。ただし、米国市場では監査基準をめぐり一部中国企業の上場廃止の動きが話題になっている。政治的には日本株優位だ。
かくして世界を回遊する過剰流動性は貪欲に次の「停泊地」を模索している。

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