コロナ下の1年、日本株投信の成績上位は?
投信ランキング
新型コロナウイルス感染拡大で世界の金融市場に動揺が広がってから約1年。2月末時点の1年リターン(分配金再投資ベース)で日本株ファンドの運用成績をランキングしてみた。
対象は国内公募の追加型株式投資信託(ETF=上場投資信託、DC・ラップ・SMA専用、ブルベア型、通貨選択型を除く)のうち、国内株式で運用するファンド。リターン上位には主に新興・中小型株に投資するアクティブ(積極運用)型が並んだ。
成績トップはアセットマネジメントOneの「厳選ジャパン」で112.5%だった。コロナショック後の組み入れ上位には、電子商取引(EC)サイト支援のBASEや医師向け情報サイトを運営するメドピアなどコロナ禍をバネに株価が急騰した銘柄が並ぶ。投資環境の急変にもひるまず、「社会課題の解決に貢献する企業」という観点を重視しながら成長銘柄を厳選し投資を続けたことが高いリターンにつながった。

他の上位ファンドも、コロナ禍に迅速に対応できた企業や収益機会の拡大が見込める企業をいち早く見極めたことが功を奏した。ファンドごとにばらつきはあるが、過去3年、5年といった期間でもおおむね市場平均を上回る運用成績を上げている。
一方、1年リターンが唯一マイナスだったのは、「フレキシブル日本株ファンド<愛称:先読みセンス>」。市場環境に応じて株式の実質的な組み入れ比率を機動的に調整するファンドだが、相場の回復局面でも保守的な運用戦略を取り続けたことが裏目に出た。リターンが2番目に低かった「みのりの投信」も先物を使って株式の組み入れ比率を調整している。
リターン下位のファンドには、配当利回りが高い銘柄に投資するタイプも多かった。この種類は過去3年、5年の運用成績も総じて低調だった。リターン上位と下位のファンドを比べてみると、コロナショック時の下落率に大きな差はなかったが、その後の反発局面で明暗がくっきり分かれた。
(QUICK資産運用研究所 西田玲子)
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