米国株、ダウ6日続落し103ドル安 連日の年初来安値、アップル下落で心理悪化
【NQNニューヨーク=川上純平】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6日続落し、前日比103ドル81セント(0.3%)安の3万1730ドル30セントで終えた。米長期金利の低下にもかかわらず、ハイテク株への売りが続いた。今年に入ってからの株価の大幅下落で信用取引の買い主体にはマージンコール(追い証)が発生しているとみられ、投資家の損失覚悟の投げ売りが相場下落につながった。
スマートフォンのアップルが3%下落した。1月4日に付けた上場来高値からの下落率は2割を超え、2割超の下落で定義される「弱気相場」入りとなった。ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は強固な財務体質で知られるアップル株が売り込まれたことについて「現金確保に迫られた投資家の売りがかさんだ」と指摘。追い証に直面した投資家による損失覚悟の投げ売りが強まった。投資家心理の悪化に伴い、ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースなどにも売りが及んだ。
朝方発表の4月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.5%上昇と市場予想に一致したものの、前年同月比では11.0%上昇と高水準の伸びが続いた。11日発表の4月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなったこともあり、米連邦準備理事会(FRB)が積極的に金融引き締めを進めるとの観測が広がっている。消費や景気が冷え込むとの見方から航空機のボーイングやクレジットカードのアメリカン・エキスプレス、建機のキャタピラーの下げが目立った。
映画・娯楽のウォルト・ディズニーは1%下落した。11日夕に発表した2022年1~3月期決算が市場予想を下回り、アナリストから業績の先行きに慎重な声が相次いだ。
ダウ平均は上昇する場面もあった。前日までの5営業日で2000ドルあまり下落しており、短期的に下げすぎとみた投資家の買いが入った。製薬のメルクやアムジェンなど業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株が上昇し、相場全体を下支えした。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は小幅に反発した。前日比6.726ポイント(0.1%)高の1万1370.962で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムと交流サイトのメタプラットフォームズが上昇した。電気自動車のテスラと半導体のエヌビディアは下落した。