米国株、ダウ小反発し8ドル高 景気敏感株に売りも引けにかけ下げ渋る ナスダックは年初来安値
【NQNニューヨーク=古江敦子】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3営業日ぶりに反発し、前日比8ドル77セント高の3万1261ドル90セントで終えた。インフレと米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めが米景気を冷やすとの懸念から、下げ幅は一時600ドルを超えた。ただ、前日までに連日で年初来安値を更新しており、短期的な戻りを見込む買いが入り、引けにかけて急速に下げ渋った。
ダウ平均は週間で934ドル(2.9%)下落した。8週続落で、情報会社のリフィニティブによると1932年以来90年ぶり、ファクトセットによると1923年以来99年ぶりの連続下落記録となる。
今週は小売り大手が発表した決算で燃料費や人件費などコスト増による収益悪化が浮き彫りになった。インフレと金融引き締めが企業収益や消費の減速につながるとの懸念が広がり、投資家のリスク回避姿勢が強まった。多くの機関投資家が運用の指標にするS&P500種株価指数は20日、1月の過去最高値に比べた下落率が20%を超える場面があった。20%を超えると弱気相場入りしたとみなされる。
ダウ平均は午後に617ドル安まで下げる場面があったが、取引終了にかけて下げ渋り、終了間際に上昇に転じた。週末とあって「足元で下げがきつかった銘柄を中心に短期投資の売り方が買い戻した」(ナショナル・セキュリティーズのアート・ホーガン氏)との声があった。
前日に急落したネットワーク機器のシスコシステムズが上昇し、顧客情報管理のセールスフォースも上げた。日用品・医薬品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)や飲料のコカ・コーラなどディフェンシブ株の買いも相場を支えた。
半面、景気敏感株は売りが優勢で、航空機のボーイングや建機のキャタピラーが下落。米長期金利が2.7%台に低下し、利ざや縮小の思惑から金融のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスも安い。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落した。前日比33.879ポイント(0.3%)安の1万1354.617ドルで終え、年初来安値を更新した。電気自動車のテスラや半導体のエヌビディアなど主力株の一角が売られた。
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