米国株、ダウ急反落し939ドル安 ナスダックの月間下落率13年ぶり大きさ
【NQNニューヨーク=戸部実華】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに急反落し、前日比939ドル18セント(2.8%)安の3万2977ドル21セントで終えた。28日夕に四半期決算を発表したネット通販のアマゾン・ドット・コムが急落し、投資家心理が悪化した。米金融引き締めや世界景気の減速懸念なども相場の重荷となり、ダウ平均の下げ幅は取引終了間際に1000ドルを超える場面があった。
アマゾンは前日比14%安で終えた。2022年1~3月期決算は最終損益が7年ぶりの赤字となった。保有株の評価損の計上が響いた。売上高は市場予想に届かず、4~6月期の見通しもさえなかった。ハイテク株に売りが波及し、ダウ平均の構成銘柄では顧客情報管理のセールスフォースが5%、ソフトウエアのマイクロソフトが4%下げた。
スマートフォンのアップルは4%安で終えた。28日夕に発表した22年1~3月期決算で売上高などが市場予想を上回ったが、決算説明会で供給制約による4~6月期の売り上げの機会損失を指摘し、嫌気された。半導体のインテルは7%安となった。前日夕に四半期決算と同時に発表した4~6月期の売上高見通しが市場予想を下回った。
米連邦準備理事会(FRB)は5月3~4日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の倍に当たる0.5%の利上げと、保有資産の縮小開始を決定する見通し。0.5%の利上げ実施となれば、00年5月以来となる。積極的な金融引き締めに対する警戒感から、リスク資産である株式を売る動きが続いた。中国での新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーン(供給網)への影響や、ウクライナ紛争に伴う世界景気の先行き不透明感も株売りにつながったとの指摘があった。
一方、朝方発表した四半期決算が市場予想を上回った機械のハネウェル・インターナショナルが2%高で終えた。
投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前日比11%高い33台となり、不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回った。ダウ平均の月間下落率は4.9%と、20年3月以来の大きさだった。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は急反落。前日比536.888ポイント(4.2%)安の1万2334.640と年初来安値を更新した。主力株が総崩れとなり、半導体株の下げも目立った。月間下落率は13.3%と、08年10月以来13年半ぶりの大きさとなった。