米国株、ダウ反落 金融株に売り 引けにかけ下げ渋る
【NQNニューヨーク=川上純平】15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比279ドル18セント安の3万1876ドル22セント(速報値)で終えた。15日の欧州市場でスイスの金融大手クレディ・スイス・グループの経営不安から欧州株相場が大幅安となり、米株市場にも売りが及んだ。金融システム不安がさらに広がると警戒され、金融株が大きく下げた。
経営不振が続くクレディ・スイスを巡り、筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンクの会長が「追加の出資要請には応じない」と述べたと伝わった。シリコンバレーバンク(SVB)など米銀の経営破綻が相次ぐなか、金融システムが一段と不安定になるとの懸念が高まった。金融株は軒並み売られ、ダウ平均の構成銘柄ではJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスの下げが目立った。
ダウ平均の下げ幅は一時720ドルに達したが、売り一巡後は下げ幅を縮小した。相対的に安全資産とされる米国債に資金が集まり、米長期金利が一時3.3%台と前日終値(3.69%)から大幅に低下。相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株には押し目買いが入りやすく、ソフトウエアのマイクロソフトは上昇して終えた。ヘルスケアなどディフェンシブ株が買われたのも相場を支えた。
引け間際にスイス国立銀行が「クレディ・スイスは必要な資本と流動性を満たしているが、必要なら流動性を供給する」と声明を発表。発表を受けてダウ平均はさらに下げ渋った。
ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比5.903ポイント高の1万1434.052(速報値)で終えた。