米国株、ダウ続落で始まる 相次ぐ金融政策の正常化で ハイテク株に売り
【NQNニューヨーク=張間正義】17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落で始まった。午前9時40分時点は前日比388ドル39セント安の3万5509ドル25セントで推移している。今週は世界の主要中銀で金融政策の正常化を進める動きが相次いだ。緩和縮小に伴い株式市場に資金が流入しにくくなるとの見方から、これまで相場全体の上昇を主導してきた高PER(株価収益率)のハイテク株中心に引き続き売りが出ている。
米連邦準備理事会(FRB)は15日、テーパリング(量的緩和の縮小)の加速を決定した。英イングランド銀行(中銀)は16日、3年4カ月ぶりに政策金利を引き上げ、欧州中央銀行(ECB)も同日、新型コロナウイルス対策として導入した緊急の資産購入策を2022年3月で終了することを決めた。17日には日銀もコロナ禍に対応した資金繰り支援策の縮小を決めた。これまで金融緩和でマネー供給を主導してきた4大中銀がそろって緩和縮小に前向きな「タカ派」に転じたとの受け止めが広がり、投資家心理の悪化につながっている。
顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフトなど主力ハイテク株に引き続き売りが出ている。米長期金利の低下で利ざやが縮小するとの見方からゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースも下げている。ダウ平均の構成銘柄以外では決済サービスのペイパル・ホールディングスとアファーム・ホールディングスが安い。米消費者金融保護局(CFPB)は16日、2社を含む後払いサービス「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」を提供する企業を一斉に調査すると発表した。
一方、通信のベライゾン・コミュニケーションズや製薬のメルクなど一部、ディフェンシブ銘柄は上昇している。ダウ平均の構成銘柄以外では16日夕に市場予想を上回る四半期決算と通期の利益見通しを引き上げた物流大手のフェデックスが大幅に上昇している。
ハイテク株が多いナスダック総合株価指数は続落し、前日比183.442ポイント安の1万4996.993で推移している。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやネット検索のアルファベットなど大型株が下げている。
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