旅客機撃墜「なぜこんなことに」 各国で憤りや自粛モード
【キエフ、アムステルダム、シドニー=共同】「なぜこんなことに」。300人近い人々を乗せたマレーシア航空機撃墜から一夜明けた18日、ウクライナ東部の現場では捜索が続く一方、犠牲者が出た関係国には衝撃が広がった。搭乗者が最も多かったオランダでは各地で半旗が掲げられ、犠牲者を悼んだ。
約15キロにわたり機体の破片や遺体が帯状に散乱する現場付近。救助隊、警察に加えて地元の炭鉱労働者らが懸命の捜索活動を続けた。AP通信によると、操縦席とエンジンが見つかった場所は約1キロ離れており、尾翼はさらに10キロ離れた場所で見つかった。捜索活動には近所に住む炭鉱労働者らも参加した。
ウクライナ外務省当局者は、180人以上の遺体が収容されたと述べた。機体や遺体は親ロシア派武装勢力が支配する地域に幅広く散乱しており、検証や収容へ向けた活動は難航も予測されるという。
オランダのルッテ首相は休暇先から急きょ帰国。「心が砕かれた。暗黒の日だ」と述べた。オランダ・スキポール空港に妻と来たオランダ人のビム・アネンさん(67)。撃墜事件に「何でこんなばかなことをするんだ」と憤った。メディアは「オランダ史上最悪の飛行機事故の一つ」と伝え、イベントで中止や音楽を流さないなどの自粛ムードが広がった。
国民20人以上が搭乗していたオーストラリア。同機にはメルボルンで20日から開かれる「第20回国際エイズ会議」に参加する研究者らも搭乗していた。会議の会場では搭乗者の約3分の1に当たる100人前後が会議参加者との情報が流れ、動揺が広がった。
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世界保健機関(WHO)は18日、ウクライナ東部で墜落したマレーシア航空の旅客機に搭乗していた報道官のグレン・トーマス氏が死去したことを明らかにした。国際エイズ会議に出席する予定だった。