2018年7月18日(水)

特定秘密、監視機関の独立性課題 運用基準素案

2014/7/18付
保存
共有
印刷
その他

 政府は17日、機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法の運用基準に関する素案をまとめた。秘密を指定する機関を政府の19機関に限定し、指定対象を55項目とした。秘密の範囲が無制限に拡大することに一定の歯止めを示したが、実際の運用は各府省の判断に委ねられる部分がなお多い。監視機関によるチェックの実効性確保などが課題となる。

 「秘密の取り扱いの客観性と透明性がよりいっそう進展することが期待される」。政府が17日に開いた「情報保全諮問会議」(座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長)の冒頭で安倍晋三首相はこう語った。座長の渡辺氏も「報道、言論などを不当に規制することがないようになかなか配慮されている」と述べた。

 政府は7月中に素案の意見公募(パブリックコメント)を始め、同会議での議論を経て9~10月にも閣議決定する。特定秘密保護法は12月の施行予定だ。

 昨年12月に成立した特定秘密保護法は政府に不都合な情報が恣意的に隠蔽され「国民の知る権利」が制限されかねないとの指摘が多かった。素案はこうした批判を念頭に「必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って指定する」と明記。法律の段階はあいまいだった秘密の指定や解除、監視に関する具体的な手続きを示した。

 法律の施行令の素案は、秘密を指定する機関を政府の61機関のうち外務・防衛両省や国家安全保障会議(NSC)など19機関に限定。指定した年月日や指定期間などを記した管理簿を作る。秘密の指定や管理が適切でないと思われた場合に内部通報できる窓口も各機関内に置く。

 法律の別表は秘密指定の対象は防衛、外交など4分野の大枠を示すのみだったが、素案はこれを細分化し「武器、弾薬、航空機などの性能」「衛星などを用いて収集した電波、画像情報」など55項目を示した。

 しかし、これらの項目に該当しているかどうかの判断は役所側に任されており、何を秘密に指定するかを巡り、政府の恣意性は残る。監視機関によるチェックの実効性を確保できるかが法律運用のカギを握る。

 一方、監視機関については内閣官房に「内閣保全監視委員会」、内閣府に「独立公文書管理監」を設置する。ただ、両組織が出す是正要求に強制力はない。いずれの機関も官僚組織であり、どこまで独立性が担保されるかも今後の運用次第だ。

 運用基準は有識者の意見を踏まえて作成するとしていたが、今回の情報保全諮問会議を開くのは1月の初会合以来、半年ぶり。この間、事務局と同会議の委員でやりとりし、素案のたたき台の意見聴取などを行った。政府はやりとりの資料はウェブサイトに載せたが、委員の中には「議事録を作りたくないから会議を開かなかったのではないか」と透明性を疑問視する声もある。

 ▼特定秘密保護法 防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止の4分野に関する情報のうち、漏洩すれば国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあり特に秘匿が必要なものを「特定秘密」に指定し厳格に管理する法律。行政機関の長が統一基準をもとに特定秘密を指定・解除する。漏洩を防ぐため、特定秘密を扱う公務員らが故意に漏らした場合、最高で懲役10年の厳罰を科す。欺いたり不正アクセスしたりして特定秘密を取得したケースも処罰の対象となる。

保存
共有
印刷
その他


[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報