九大、尿のにおいでがん検知のシステム開発へ
九州大学は人の尿でがんを検知できるシステムの開発に乗り出す。においを感じ取る嗅覚受容体の形態が哺乳類と同じ線虫を応用し、がん患者が持つ物質のにおいを検知することを狙う。5年後をメドに医療機関用の検査機器の開発を目指し、さらに将来的には家庭用検査キット作りにもつなげたいという。
九州大の味覚・嗅覚センサ研究開発センター内に設置した「応用医療センシング部門」で取り組む。計画では、においに反応する線虫の受容体を組織するタンパク質を解明した後、受容体を人工的に作成。この受容体を使い、人の尿のにおいからがんを探知するセンサーの役割を持たせるという。
線虫には嗅覚受容体が犬と同じく1200種類以上あり、においに敏感だ。ただ、においを感じ取る仕組みは解明されていない。
都甲潔・同センター長は「将来的には家庭内でがん検査できるキットの商品化にもつなげたい」と話している。