2019年2月20日(水)

集団的自衛権の行使容認、海外の反応は様々

2014/7/2付
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安倍政権が1日、集団的自衛権の行使を認めるために憲法解釈を変更することを閣議決定したのに対し、米国が歓迎を表明する一方、中国、韓国は相次いで警戒感を示した。南シナ海問題などを巡り中国への警戒感が広がる東南アジアでは、日本の動きを評価する声もあった。

■米、「日本の役割拡大」歓迎

【ワシントン=吉野直也】オバマ米政権は安倍政権の取り組みを一貫して支持しており、今回の閣議決定で手続きが加速することを歓迎している。国防費の大幅削減を迫られる米国のアジア戦略は日本など同盟国との連携強化が柱。集団的自衛権の行使が認められれば、米軍と自衛隊の協力範囲が広がるためだ。

米国務省のサキ報道官は6月30日の記者会見で、今回の閣議決定について「日本は必要なことをするためのあらゆる権利を有している」と安倍政権の取り組みをあらためて支持した。そのうえで「これらの重要な問題に関して日米は連絡を取り合い、日本には透明な形で手続きを進めるよう促している」と語った。

オバマ政権に影響力を持つ米ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ北東アジア研究センター所長は「(閣議決定は)まだ中間段階だ。関連法が成立するまで本当の内容を知ることはできない」と指摘した。米軍と自衛隊の協力拡大により、沖縄県・尖閣諸島付近での「日中の摩擦が減るだろう」と予測。「日中が海洋ルールづくりに動き出せば、さらに事態は好転する」と述べた。

■中韓は警戒感強める

【北京=島田学】中国外務省の洪磊副報道局長は1日の記者会見で、「日本が戦後、長い間堅持してきた平和発展の道を変えるのではないかとの疑いを禁じ得ない」と警戒感を示した。日本が中国脅威論をあおり、集団的自衛権など安全保障政策の変更に利用しているとも批判した。

洪氏は集団的自衛権の行使を認めることは「日本の軍事・安全保障政策に重要な変化をもたらす」と指摘。「歴史的な原因から、日本の軍事・安全保障政策は常にアジアの近隣諸国から高い関心を受けている」と述べ、韓国など周辺国と連携していく考えも示唆した。

中国の国営中央テレビは1日午前から「日本国内では集団的自衛権の解禁への強烈な反対の声もある」と繰り返し報じた。中国国民に対し、「右傾化」した安倍政権が強引な政権運営をしていると印象づけたいとの思惑がありそうだ。

【ソウル=小倉健太郎】韓国の外務省は1日、報道官声明を発表。今後の具体的な法整備では「平和憲法の基本精神を堅持」することなどを日本に求めた。集団的自衛権の行使が朝鮮半島と韓国の国益に影響を与える場合は「韓国政府の要請または同意がない限り決して容認できない」との立場をあらためて表明した。

与党セヌリ党報道官は日本の動きにより北東アジアで軍事的な緊張が高まるのを憂慮すると表明。「自衛隊が朝鮮半島に入る場合は韓国の同意を求めることを明確にすべき」だが、現状では十分でないとして韓国政府の対応も批判した。最大野党の新政治民主連合も日本を糾弾すると強く非難すると同時に、与党とほぼ同様の論理で韓国政府にも矛先を向けた。

■東南ア各国、報道は限定的

【シンガポール=吉田渉】東南アジア各国のメディアは事実関係の報道にとどめ、独自の論評は1日夕時点でほぼ見当たらない。中国と領有権紛争を抱える国からは、日本政府の姿勢を支持する声も出ている。

シンガポールのテレビ局「チャンネルニュース・アジア」は1日夕の番組で安倍晋三首相の記者会見を放映し、「日本国民すべてが賛成しているわけではない」との識者コメントを伝えた。ベトナム国営紙トイチェ(電子版)は6月30日付で「日本は歴史の転換に立つ」と報道した。ただ各国政府の反応などに関する報道はほとんどない。

フィリピンは集団的自衛権の行使容認に対する支持をいち早く表明した。アキノ大統領は6月24日の安倍首相との会談で「警戒感は抱かない」と明言した。東南アジア諸国連合(ASEAN)では領有権を巡る中国の挑発に対する警戒感が広がっており、一部の国では日本が安全保障面で存在感を高めることへの期待は根強い。

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