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増える日本のIT起業 事業売却し、立て続けに

森川亮・LINE社長

IT(情報技術)関連の起業が増えています。日本全体として減っているという意見もありますが、IT関連においては起業イベントが確実に増えており、またベンチャーキャピタル(VC)ではなく、シード段階から投資をするファンドや個人投資家も増えており、着実にベンチャーが根付く環境が整備されつつあります。

 1989年筑波大卒。日本テレビ、ソニーを経て2003年ハンゲームジャパン(現LINE=ライン)入社、07年社長。

そのなかで、起業を成功させたうえで新規株式公開(IPO)なり事業売却をして、その資金を元に新たな起業をスタートする「シリアルアントレプレナー」が生まれつつあります。メルカリの山田進太郎社長やクラウドワークスの吉田浩一郎社長、nanapiの古川健介社長らが有名どころですね。

山田さんはウノウというソーシャルゲームの会社を米ソーシャルゲーム最大手のジンガに売却された後「メルカリ」というスマートフォン(スマホ)で撮影した商品をすぐ出品できる「フリマアプリ」を立ち上げられました。こちらも成長していて、海外展開も進めています。

吉田さんはソーシャルゲーム会社ドリコムの営業担当役員として事業成長とIPOに関わり、クラウドソーシング事業のクラウドワークスを創業し業界ナンバーワンの地位を確立されました。

そして古川さんは学生時代に起業され、レンタル掲示板事業をライブドアに売却。その後新たにハウツーサイト「nanapi」を立ち上げられ、大手事業会社からの資金調達にも成功しています。一度起業を成功させた方は投資家の信頼も厚いようです。

一方で、起業に成功した後に個人投資家に転身した方も出てきています。有名な方だとヤフーで電子商取引(eコマース)と投資の責任者をしている小沢隆生執行役員やディー・エヌ・エー(DeNA)出身の川田尚吾さんらです。

 小沢さんは起業家として中古品マーケットプレイスのビズシークを楽天に売却し、その後、球団役員を経たのち、投資家として数々の起業を成功に導かれました。

川田さんはDeNAを南場智子元社長とともに創業されました。ソーシャルゲーム事業が成功した後、エンジェル投資家としていくつかの会社への投資や経営指南で起業を成功させています。よちよち歩きの起業家を育て上げ、成功に導く彼らの存在は起業には欠かせないようです。

起業を最高経営責任者(CEO)としてではなく、最高執行責任者(COO)や最高財務責任者(CFO)など経営者の右腕として成功させてから、またベンチャー企業に入ってサポートする経営者も生まれてきました。ミクシィ出身の小泉文明さんや、サイバーエージェント(CA)出身の西條晋一さんです。

小泉さんは現在メルカリとソーシャル旅行サービス「トリッピース」の役員をされていて、主にCFO的な役割で資金調達などで成果を挙げられています。もともと大手証券会社からミクシィに転職しIPOを成功させた経験をお持ちです。

西條さんは大手商社からCAに移り、様々な新規事業を成功させ米国法人の代表を務められました。現在は決済サービス「コイニー」の役員やグローバルのイノベーションを促進するWiL(ウイル)の創業者として、精力的に活動されています。

二人の共通点はともに大企業出身で、様々な経験をされてきた、というところです。若手起業家のある意味右腕として、その価値を提供されています。

単に資金だけでなく、人材やノウハウがベンチャー企業の間でまわるエコシステム(生態系)が日本でも生まれつつあります。彼らの関わる新たなビジネスが本当に楽しみです。

[日経産業新聞2014年6月26日付]

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