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ノキア最高技術責任者「運用自動化で低コストに」

2014/6/19 7:00
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――モバイル通信の進化をどう捉えますか。

ホセイン・モーイン最高技術責任者

ホセイン・モーイン最高技術責任者

「モバイル通信は今や人間が生活の質を高めていく上で不可欠のプラットフォーム(基盤)となった。利用者は単に情報を受け取るだけでなく、交流サイト(SNS)や対話アプリ(応用ソフト)を通じて今どこで何をしているか、どんなことを感じているかなど自分の情報を発信し合うようになっている」

「今後は、センサーにより計測した様々なモノやヒトのデータをネットワークでやりとりすることで、様々な問題を解決できる。病気の兆候をいち早く捉え初期に対処したり、教える側と学ぶ側を物理的な距離に関係なくマッチングさせて効果的な学習環境を実現したりできるようになる。あらゆることが現在よりも高性能なネットワークで運営され、進化していくだろう」

■通信量が課題

――想像を超える膨大な通信(トラフィック)が発生しそうです。

「爆発的に増えていくトラフィックをどうすれば効率よく確実に収容できるかが大きな課題だ。電波利用効率や基地局設置密度の向上といった技術進化のほか、通信会社と規制当局が協調して、モバイル通信向けに十分な周波数を割り当てられるようにするなどの取り組みが必要になる」

――双方向でデータをやり取りする機会も増えそうです。

「高速データ通信『LTE』など現在の最新モバイル通信の規格作りがスタートした2000年代前半は、動画など大容量データをモバイル端末にダウンロードする用途を想定していた。今後はスポーツ観戦時のように、ユーザーが局所的に集まり一斉にモバイル端末で動画などのデータを送信するといった使い方がますます増える」

「モバイル端末から基地局に送信する際の通信速度を向上させる技術についても、世界中の通信会社や機器ベンダーが重要課題と捉えて開発が進んでいる」

――問題をどう解決すべきでしょうか。

「通信インフラの経済性がより重要な課題だ。ネットワーク運用の自動化が進んでいないこともあり、増え続けるトラフィックを低コストで収容するのは難しい。コンピューターサイエンスやクラウドコンピューティングの技術を取り込んで自動化を進めることがポイントだ。ネットワーク障害が起こっても、人間が介在することなく解決できる認知型(コグニティブ)型のネットワークを作り出す必要がある」

「コグニティブネットワークの世界を実現するには、様々な領域の知見を集めなければならない。ネットワーク、モバイル、端末センサー、画像処理などで長年にわたる人材やノウハウを蓄積してきた当社の出番はますます増えるはずだ」

■対抗より協調

――「LINE(ライン)」に代表される対話アプリの普及が通信会社の通話収入減につながっているとの指摘もあります。今後ネットワークの世界にどんな影響をもたらしますか。

「対話アプリを提供するような企業は『オーバー・ザ・トップ(OTT)』と呼ばれている。OTTはICT(情報通信技術)におけるエコシステムの鍵を握るプレーヤーになっていくのではないか。通信会社は彼らに対抗するよりも、協調しながら競合との差異化や収益化を図る方策を探っていくことになるだろう」(聞き手は高槻芳)

Hossein Moiin 1992年、カリフォルニア大サンタバーバラ校にて電気工学とコンピューター工学の博士号取得。米タンデム・コンピューターズ入社。95年に米サン・マイクロシステムズ(現オラクル)に転じ、Tモバイル、ブリティッシュ・テレコムを経て10年にノキア・シーメンス・ネットワークス(現ノキア)入社、最高技術責任者(CTO)に就任。64年生まれ。
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