東京、アジア諸都市に遅れ 外資系拠点数など 首都圏白書
国土交通省は10日発表した2013年度版「首都圏白書」で、首都圏の国際競争力の現状をまとめた。ビジネスのしやすさなどが「急速に台頭してきたアジアの諸都市に比べ遅れている」と分析。20年夏季五輪の東京開催を生かし、開催後も見据えた巻き返し策が必要と指摘した。海外企業を呼び込むための環境整備や大地震への備え、建物などの老朽化対策などに取り組むべきだとした。
白書によると、外資系企業が日本に設置するアジアの地域統括拠点は113で、シンガポール、中国、香港に次ぐ4位。また、国際会議開催件数(11年)も東京は1位のシンガポールから770件近く少ない153件で、ソウル(232件)も下回る。
シンガポールは国を挙げて国際会議や展示会を誘致。10年には会議・展示場に加え、ホテルやカジノ、商業施設などを備えた2つの大型総合リゾートも開業し、競争力を高めている。東京は今も世界有数の都市圏とはいえ、相対的な地位の低下は否めない。
対応策の一つとして、政府は5月、地域を限って規制を大胆に緩和する国家戦略特別区域を指定し、首都圏では千代田区や中央区など東京都内9区と神奈川県、千葉県成田市が選ばれた。海外企業が日本法人を設立する際の手続きを簡素化するなど、世界から資金や人材、企業を集めるための取り組みを強化する方針だ。
首都直下地震など大規模災害の被害軽減や公共インフラ、東京都区部の建物の老朽化対策も訴えた。都心部の大手町・丸の内・有楽町地区などは築40年以上で区画が小さいオフィスビルが多い。更新時期を迎える中、優れた防災機能や高い集客力を持つビルの立地を促すには、細分化した土地の集約を進める必要があるとしている。
一方、白書では首都圏の高齢化についても分析した。周辺4県(茨城、栃木、群馬、山梨)に住む65歳以上の高齢者の割合は10年調査で平均22.7%で、東京都(20.1%)や埼玉、千葉、神奈川の近隣3県の平均(20.5%)より高い。首都圏周辺部では全国平均並みに高齢化が進んでいるとして、「介護施設の整備など高齢者支援が必要だ」としている。
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