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ゲーム好きの子供応援、プログラミング教室が人気

山田 剛良(日経NETWORK編集長)

「コンピュータープログラミング」が子供たちの間で人気だ。簡便な学習用プログラミング言語を使って、中学生が自ら手で企画した授業が行われるなど裾野が広がっている。子供の「ゲーム好き」を教育につなげたい親の心情がブームを後押ししそうだ。

プログラミングを同級生にも教える中学1年生の山内くん(中央)

2月、東京学芸大学付属国際中等教育学校(東京・練馬)で一風変わったプログラミング体験授業が開かれた。教えるのも教わるのも1年生。カリキュラムの作成や準備、当日の進行まで生徒有志のグループ「It is IT」が仕切った。

9人のグループの中心人物が山内奏人くん(13)。小学5年からプログラミングを独学し、小6だった2012年に中高生対象の国際プログラミングコンテストで優勝。一躍注目を浴びた。

「It is IT」は中学に進学した山内くんのプログラミング仲間だ。最初は「ゲームが作れるかも」(メンバーの上倉隼くん)と軽い気持ちで参加したメンバーらも、学ぶうちにプログラミングにのめり込んだ。楽しさを伝えたいと学園祭で小学生向けに開いたプログラミング体験教室が、見学に訪れた親子に大盛況。これが2月の授業につながった。

山内くんらが教材として使うのが「Scratch(スクラッチ)」。米MITメディアラボが開発した学習用のプログラミング言語だ。小学校の低学年でも扱えるほど簡単で親しみやすいが、上達するとかなり高度なソフトも作れる。13年5月に登場した最新版はウェブブラウザーとネットがあれば稼働でき、パソコンやスマートフォン(スマホ)、タブレットでいつでも使える。

青山学院大学や津田塾大学の非常勤講師、阿部和広氏は「最初に学ぶならスクラッチが最適」と話す。阿部氏は若年層向けのプログラミング教育の専門家。スクラッチに関する小学生向け入門書も著す。スクラッチを推すのはプログラミングの基礎となる要素が全て含まれているからという。

 春休み最後の土曜日。東京・渋谷にあるネット広告最大手のサイバーエージェント本社に約20組の親子連れが集まった。子会社のCAテックキッズ(東京・渋谷、上野朝大社長)が運営するプログラミング教室の無料体験に参加するためだ。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て13年から現職。京都府出身、48歳。

同社は13年10月から3カ月1期のプログラミング教室を本格稼働。今年4月には生徒数が250人を超え、大阪にも教室を設けた。

夏休みなどに開催する3日間の集中講座も含めると「今年度中に累計2000人の受講を達成できそう」(上野社長)。ピアノやサッカーのようなお稽古事の1つとして認知されるのが当面の目標という。

子供3~4人に1人の大学生講師を付ける。講義ではなく教材を元に子供たちが思い思いに進める自習方式だ。約2時間の授業1回でスマホアプリを1つ完成させる。毎回、達成感を味わわせ、子供の好奇心を途切れさせない工夫だ。

同社の体験授業に集まった父母に話を聞くと意外な本音が見えてきた。プログラミングの将来性に期待する声も多いが、「子供がゲーム好きだから連れてきた」という親が案外いるのだ。ある母親は「ゲームばかりで勉強しないと叱るより、その好奇心をプログラミングなど有意義な学習に向けたい」と話す。

子供たちの周囲はゲームであふれる。ゲームをしたい子供と、止めたい親。この永遠の対立構造を「プログラミング教育」が緩和するなら、このブームは案外続きそうだ。

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