鈍牛返上?ドコモ 「バックエンド」に500億円投資

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2014/5/29 7:00
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■端末の勝負一服

だが「iPhone」や「LTE」での勝負は一服。次の競争軸はどこなのか。

A・T・カーニーの吉川尚宏パートナーは「携帯電話会社にとっての最大の課題は解約率を下げること。光回線や電気、ガスなどとバンドルすれば解約率を下げられ利益水準を高められる」と指摘する。野村総合研究所(NRI)の阿波村聡上級コンサルタントも、「今後の競争軸として携帯以外のサービスと組み合わせた新たな割引が有効」との見方だ。

実際、携帯電話会社は金融など生活サービス事業にも乗り出している。だが「外部サービスを柔軟に組み合わせ、競合に先駆けて新たな料金サービスを投入できるかどうかは、料金管理などのシステムの優劣に左右される」(吉川氏)。サービスの多様化が進めば進むほど、設備の付加価値は通信設備からバックエンドに移る。

「情報システムが経営スピードを阻害する現状を放置すれば会社の将来はありません」。NTTドコモCIO(最高情報責任者)の西川清二常務執行役員は中村社長(当時)にこう訴え、「アラジン」の刷新は決まった。消費者が求めるサービスの将来形を見極め、先手を打って大規模設備投資を打つ胆力が携帯電話会社に求められている。

NTTドコモの過去のシステム障害
2011年6月通信設備の故障で関東甲信越地方の契約者172万人が通話・通信しにくくなる
9月台風で通信ケーブルなどが破損、一部地域でサービスが停止
12月通信伝送路の故障によって、「spモード」のメールアドレスが他人のものに置き換わるトラブルが発生
2012年1月東京都内の新型交換機が故障、最大252万人が通話・通信しにくくなる
7月spモードの制御システムでソフト更新ミスがあり、他人のメールアドレスなどが参照できる状態に
11月spモードを監視するサーバーの設定ミスで、最大270万人が電子メールなどを利用しにくくなる

■「店舗の営業止めるな」

 プログラム行数が2370万行に及んだ初代アラジンには1000ページを超える「契約約款」の内容が盛り込まれている。「約款の内容をすべて理解している社員は皆無」(ドコモの西川清二常務執行役員)。つまりアラジンだけが全てを知る状態だった。
 ベテラン社員などの力を借りて過去のサービス追加や変更の経緯をたどり、2370万行のプログラムが「なぜそう書かれたか」を丹念に洗い出した。2代目アラジンの完成後にも試練が待っていた。
 「ドコモショップの営業は止めるなよ」。当時の山田隆持社長はこう厳命。銀行など大規模システムの切り替えは年末年始やゴールデンウイークを使うが、ドコモショップは365日営業する。
 新旧システムの並行稼働期間を設け、全国の店舗が段階的に新システムにつなぎ替えられるようにした。店舗のパソコンからは初代と2代目両方のアラジンにアクセスできるようにしておく。その上で、初代が店舗からデータを受け付けると、その内容を2代目にも同時に反映させる。これにより2代目アラジンを常に最新の状態に保ち、移行を完遂した。
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