中国「人海入力」基地を見る 誤字率は0.01%以下

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2014/5/11 7:00
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銀行口座や携帯電話の申込書、保険金の請求書――。ビッグデータ時代になっても手書きの文書は世の中にあふれる。文字のデータ化は膨大な作業。これを日本企業から請け負うのが大連などの中国人だ。1万人以上の作業者が日本人よりも速く正確に業務をこなす。日本企業の競争力を下支えする"進化する人海戦力"の現場を歩いた。

■日本語の申込書・請求書・診断書…

カタカタカタ――。テニスコート16面分もあるフロアに500人の中国人がキーボードをたたく音だけが鳴り響く。

運河の街で知られる遼寧省の省都、瀋陽。車で30分ほど南下した郊外のハイテク団地に、NTTデータの入力拠点がある。20代から40代ぐらいまでの中国女性が一心不乱におのおののパソコンに向かう。

この拠点は日本の保険会社から保険金や給付金の支払業務を請け負っている。保険契約者が手書きした提出書類を読み取り、その内容をキー入力する。500人で1日平均7万6000枚を処理。入力スピードはひらがなだと1分間に180字以上。毎秒3字超のハイペースだ。

スピードだけではない。下の写真は医師の診断書だが、正確に読み取れる人が何人いるだろうか。データ入力を専門に手掛けるインフォデリバ(東京・港、尚捷社長)の伊藤嘉邦副社長は、「日本人でも判読が難しい記述を1字残さず正確に読み取る」と胸を張る。

中国の作業者は日本の医師が書いた判読難解な記述もすらすら読み取る

中国の作業者は日本の医師が書いた判読難解な記述もすらすら読み取る

ビジネス・プロセス・アウトソーシングBPO)――。文字通り、「間接業務の外部委託」を意味する。単純作業を低コストで、という固定観念がぬぐえなかったBPOだが、その質、正確さともに、もはや日本国内には戻せないほどの進化を遂げている。

瀋陽から新幹線で2時間半。大連にある同社の拠点は、日本の生保5社から診断書のデータ入力を受託しており、200人が作業にあたる。

作業者は医療関係者でもなければ、医学部の出身でもない。これだけ正確なのは「乱雑な手書き文字を読み取る力を鍛え、医学用語を覚えているからだ」と、秦連奎・品質管理部長は説明する。

秦氏は驚くべきデータを見せてくれた。同社の大連での診断書読み取り業務は誤字率が1万字に1字(0.01%)以下。日本人が作業すると誤字率は10字に1字(10%)。新聞で言えば誤字が1行に1字か、1ページに1字かという差だ。

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