群雄割拠チャットアプリ 巨額買収、攻防の行方

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2014/3/16 7:00
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友達が居ない対話アプリは、つまらないので誰も使わない。友達が始めれば、友達が友達を呼び、利用者がねずみ算的に増える。しかも友達との対話手段なので四六時中、目を離さない。使用頻度は自然に高くなる。

各社が無料アプリでサービスを競うのは、利用者を集め、利用者の個人情報や利用動向などを収集・分析して、電子商取引(EC)や広告、販売促進などにつなげたいからだ。

■友達ごと「囲う」

その「集客力」と「滞留時間の長さ」を狙って、新規参入や事業の拡充が相次いでいる。「コミュニケーションはあらゆる面で重要だ。ECに使いたい」――。三木谷浩史社長率いる楽天がViberを買収したのも、中国のEC大手アリババ・グループが「来往(ライワン)」を開発し、微信を抱える騰訊に挑むのもそのパターンだ。

対話アプリ大手がSNSに「逆襲」する例も出てきた。LINEの親会社である韓国ネイバーは「BAND(バンド)」で、同じく韓国のカカオトークは「カカオストーリー」でそれぞれ写真共有やタイムライン表示などSNS的な機能を強調。いずれも利用者を集め、利用頻度を増やすのが狙いだ。すべては「利用者の時間と財布」をいかに囲い込むかにかかる。

逆に友達が移動すれば、利用者は何のためらいもなく、他の対話アプリに移動する。米グーグルのエリック・シュミット会長は「利用者は不満ならば、クリック1つで移っていく」と指摘する。

利用者を「囲い込む」ためには友達ごと居続けてもらうしかない。各社が動画像の共有、音声通話、顔を見ながら会話する「ビデオチャット」などの機能を相次いで無料提供するのは、有料では見向きもされないからだ。

米アップルとグーグルも自前の対話サービスを提供しているが、思惑通りには行っていない。滞留時間の増大にはつながらず、ワッツアップやLINEなどが利用者を伸ばした。

対話アプリは大半がアップルの「iOS」、グーグルの「アンドロイド」など主要基本ソフト(OS)に対応しているうえ、無料で使える。アップル、グーグルの収益拡大に寄与するかどうかは微妙だ。

「10億人に到達する可能性のあるサービスは多くない。190億ドルでも安いものだ」。ワッツアップ買収について、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOはこう言い切った。一寸先は闇でも、各社は利用者を集め続け、引き留め続けるしかない。

[日経産業新聞2014年3月11日付]

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